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「獺祭」名乗らず米国生産 旭酒造、NY州に酒蔵

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旭酒造は3年前からニューヨークで「獺祭」の販促イベントを開いている

 日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造(山口県岩国市)は米ニューヨーク州に大規模な酒蔵を新設する。2019年から米国産の食用米を使って純米大吟醸酒などを製造し、米国人が日常的に飲むワイン並みの価格で販売する。同社によると日本の酒造会社が米国に進出するのは約20年ぶり。最大輸出先の米国で現地生産し「SAKE」をアピールする。
 米名門料理学校である「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)」と提携し、同校のあるハイド・パーク地区でスーパー跡地の約6万2千平方メートルの土地を取得した。4900平方メートルの平屋の酒蔵を18年4月に着工し、19年1月の稼働を目指す。土地や建物など総投資額は35億円を見込む。

 酒蔵には当初5人の社員を派遣し、現地従業員として最大40人程度を雇う計画だ。獺祭と同じ通年醸造の設備で、精米度50%以上の純米大吟醸酒などを造る。原料の2割を占める麹米には日本から輸入する山田錦を使う。年産能力180万リットル。初年度は12万6千リットルの販売を見込む。

 小売店や料理店を中心に純米大吟醸酒を750ミリリットル瓶で15ドル(約1700円)程度で提供する。5年後に売上高10億円を目指す。ブランド名に「獺祭」は使わない。米国市場では25ドル以上の高級酒と現地生産の10ドル以下の普及品が主流で「中間帯の商品がなかった」(桜井一宏社長)という。

 旭酒造は13年前に米国への輸出を始め、日本料理店を中心に約70店に「獺祭」を販売している。ニューヨークでは3年前から販促イベント「NY獺祭の会」を開き、市場調査やファン層の拡大に向けて活動してきた。

 提携先のCIAは世界的に人気が高い日本酒の研究・教育カリキュラムを計画し、協力先を探していた。旭酒造の酒蔵で学生や卒業生の研修・見学プログラムを始める。同校の卒業生には著名シェフも多く、日本酒ファンが広がる効果も期待している。

 和食人気の高まりなどを背景に日本酒の輸出は年々増え、16年は156億円と10年前の約3倍に拡大した。このうち米国は52億円を占める。旭酒造は売上高の1割程度を海外で販売しており、18年9月期の輸出は前期比4割増の20億円を目指す。来春にはパリに著名なシェフであるジョエル・ロブション氏との共同店舗を出す予定だ。

2017/12/12 13:04    日本経済新聞 電子版