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「仲見世」の家賃、浅草寺が突然の16倍提示

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雷門から浅草寺の本堂へ続く参道に立ち並ぶ仲見世商店街(10月30日、東京都台東区で)

 東京都台東区浅草寺が、境内に並ぶ「仲見世商店街」の家賃の大幅な値上げを検討している。

 現在の家賃は、10平方メートル当たり月約1万5000円。これに対し、同寺は「周辺の相場と比べて安すぎる」として、約16倍の同25万円を提示した。突然の値上げに商店主らは戸惑いつつ、話し合いによる解決を模索している。

 仲見世商店街は、雷門から浅草寺の本堂に向かって続く約250メートルの参道に、土産店や玩具店など約90店が軒を連ねる。にぎやかな風情が観光客らの人気を集めている。

 都や仲見世商店街振興組合などによると、商店街の土地はもともと浅草寺の所有だったが、明治政府によって没収された後、東京府(現・東京都)の管理下に。1911年に土地は寺へ返還されたが、建物の所有権は都が持ち続けていた。

 戦後、都と寺の合意に基づき、土地代は無償とした上で、都が各商店から家賃を徴収するようになった。家賃は物価の変動などに合わせて数年ごとに改定され、近年は10平方メートル当たり月約1万5000円。都は年間で計約2500万円を得ていた。

 しかし、今年7月に寺が都から建物を約2000万円で購入したことで事態が変わった。建物の所有者となった寺は、固定資産税や維持管理費を捻出しなければならない。寺と振興組合側は毎月、協議会を開催して話し合い、9月の協議会で寺側が、来年1月からの家賃の値上げを提示した。浅草周辺の相場として、「10平方メートル当たり月25万円」の家賃が示されたという。

 「提示通りに値上げされたら、店を続けるのは難しいだろう」

 仲見世商店街振興組合の広報部長で、傘店を営む森田一郎さん(58)はそう漏らす。明治時代に創業し、今の店の広さは約20平方メートル。このままだと月50万円の賃料を払うことになる。店で売っている和傘は外国人観光客らの関心が高いが、興味はあっても買わない人も多く、売り上げが大きく伸びているわけではない。

 振興組合によると、他の店からも、「厳しい」との声が多く出ているという。

 森田さんは「安く置かせてもらっていると思っていたので値上げは覚悟していたが、想像以上で驚いた」と語り、「今の店が相次いで商売をやめたら、仲見世の雰囲気が変わり、お客さんをさみしがらせてしまう」と危惧する。

 一方、浅草寺は、景観やにぎわいを維持するという条件で都から建物を購入した。寺は「仲見世の人たちと協力するのが大前提」としており、各店の経営事情なども考えて柔軟に検討していく考えだ。

 都内の不動産鑑定士は「周辺の相場と比べたら、明らかに安い賃料。ただ、いきなり十数倍に値上げするのは厳しい」と指摘し、「お互いの契約や取り決めに基づき妥協点を探るべきだろう」と話している。

2017年11月07日 09時57分    Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 

浅草寺仲見世商店街、家賃値上げ騒動 寺が16倍提示

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外国人観光客も交じってにぎわう浅草寺仲見世商店街=東京都台東区

 東京の観光名所、浅草寺(せんそうじ)の仲見世商店街が家賃騒動に揺れている。建物の所有が東京都から浅草寺に移り、来年1月から約16倍の値上げを提示されたという。家賃が跳ね上がれば廃業に追い込まれかねないため、商店街は「寺側と話し合いたい」としている。

 仲見世商店街振興組合によると、各店が家賃の値上げを知らされたのは9月。10平方メートルあたり月1万5千円だった家賃を、来年1月から約16倍にあたる月25万円に値上げしたいという内容だった。「周辺の家賃相場と釣り合いをとった」との理由だったという。

 250メートルほどの表参道に88店が軒を連ねる仲見世では、10平方メートルか20平方メートルの建物を借りている店が多く、値上げになれば月1万5千円の家賃は25万円に、月3万円の家賃は50万円になる。仲見世で傘店を営む森田一郎さん(58)は「家賃の高騰は死活問題で、経営できなくなる店がほとんど」と話す。

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 大幅な値上げの背景には、大家が7月に東京都から浅草寺に代わったことがある。都などによると、仲見世商店街の土地は浅草寺が所有していたが、1871(明治4)年の上知令(あげちれい)で寺領が没収され、現在の都の管理下に。第2次大戦後に浅草寺に戻されたが、仲見世の建物は都の所有になっており、都は浅草寺から土地を無償で借りて、引き続き店舗を管理。各店舗から家賃のみ受け取っていた。商店街全体で年間約2500万円、1店舗あたりに換算すると、月2万3千円になる。格安なのは、土地代がかからず、戦争で大部分が焼失した時に店主自らが建て直した経緯があるからだという。

 だが6年前、こうした形態に見直しの動きが出た。浅草寺が都に建物の売却を求め、話し合いを続けてきたが、7月に約2千万円で買い取ることに合意した。売却にあたっては、歴史的な景観や伝統的な商店街の趣を維持することが確認事項として取り交わされた。

■都「チェーン店ばかりは好ましくない」

 突然の値上げ要求に、受け止めはさまざまだ。

 仲見世で江戸時代から続く店を受け継ぐ60代男性は「敗戦で国が財政難だった時は銀行から資金を借り、血を吐くような思いで再建したと聞いている。その後の修繕も自分たちでやってきた経緯を理解してほしい」と訴える。浅草寺が来年1月から値上げしたいとの意向を示していることから、仲見世商店街振興組合は今月中にも全店舗を集めて意見を聞き、寺側との交渉に臨みたい考えだ。

 一方、仲見世通りとは別の場所で土産物店を営む50代女性は「もともとの家賃が安すぎる。うちらは0が一つ多いくらいの家賃を払っているのだから、値上げは妥当」と理解を示す。

 都は「仲見世は歴史的価値があり、資本力があるチェーン店ばかりになるのは好ましくない」との立場だが、交渉は「民間同士のこと」としている。

 浅草寺は、経緯や今後の見通しについて、「まだ何も決まっていません」と回答した。(西村奈緒美)

     ◇

 〈仲見世商店街〉 1685年ごろ、浅草寺が清掃を課す代わりに付近の住民に出店を許可したことが始まり。明治期にれんが造りに建て替えられたが、1923年の関東大震災で大きな被害を受けた。日本で最も古い商店街の一つ。

 〈浅草寺〉 628年創建。江戸時代、徳川家康が幕府の祈願所に定めると参拝者が増え、周辺に盛り場ができた。今も東京の観光名所の一つで、国内外から年間約3千万人が訪れる。7月にほおずき市、12月には羽子板市が開かれる。

2017年11月4日11時09分    朝日新聞デジタル