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イラク首相、正式に勝利宣言 モスルを奪還

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10日、国旗を手に勝利宣言するイラクのアバディ首相(中央)=ロイター

 【カイロ=飛田雅則】イラクのアバディ首相は10日、北部の都市モスルで続いていた過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いに「勝利した」と正式に宣言した。約9カ月に及ぶ戦闘を経て、ISが3年前に「建国」を宣言した最大拠点だった都市を奪還した。「首都」と称するシリアのラッカでも劣勢にあり、ISの支配は転換点を迎えている。ISによる報復も予想される。
 黒の軍服を着たアバディ首相はイラク兵の前で「解放されたモスルから勝利を宣言する。テロ国家は失敗に終わり、崩壊を迎えた」と強調した。旧市街をほぼ制圧した9日にツイッターで「解放宣言」を出しモスル入りしたが、公式な勝利宣言は控えていた。

 2014年6月にISはイラク第2の都市モスルを制圧し、指導者のバグダディ容疑者が「国家樹立」を宣言した。銀行や住民からお金を略奪。イラク軍から武器を奪い、イラクやシリアに支配地域を広げた。「国土」の拡大を支えたのがモスルだった。反発する住民は処刑するなど恐怖で支配を続けた。

 米軍が主導する有志連合の支援のもとで、16年10月からイラク軍は奪還作戦を開始。人口が密集する旧市街では、ISは住民を「人間の盾」に使い抵抗したため作戦は遅れた。戦闘で病院や学校、橋などが破壊され、今後の復興にも時間がかかりそうだ。

 ISは象徴としてきた都市を失ったことで、求心力の低下は免れない。ただ、今もイラクとシリアの国境沿いなどに、支配地域は残る。

 IS掃討の次の焦点はシリア・ラッカに移る。米軍の支援を受けたクルド民兵主体の部隊が包囲網を狭めている。IS戦闘員は3千人超いるといわれ、激しい抵抗が予想される。

 ISはイラクやシリアだけでなく、欧州などでテロを仕掛ける可能性もある。東南アジアでもIS戦闘員が合流しているとされ、当局の治安部隊との戦いが続く。イラクのモスル陥落など中東でのISの劣勢が、テロの拡散を促す恐れもある。

2017/7/11 10:27    日経新聞