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地元住民「うかつに近づけない」 中国の邦人拘束現場

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周囲を山に囲まれた山東省煙台市の温泉リゾート施設=23日、平賀拓哉撮影

 中国で3月下旬に日本人会社員6人が拘束された事件で、6人はいずれもリゾート開発が進む地域で温泉開発の調査をしていた。中国では軍事管理区域もあいまいで、測量なども厳しく管理されており、外国人にはリスクも高い。地質調査をしていたのはどんな場所だったのか。記者が23日、6人が拘束された山東省と海南省の現地を訪ねた。
 日本地下探査(千葉県)の社員ら3人が拘束された山東省煙台市の蓬萊。古くから海辺の景勝地として知られ、リゾート開発が進んでいた。住民によると、海岸から40キロほど離れた山間部に温泉の源泉が複数あり、2005年には近郊に温泉リゾート施設が開業。15年にも新たな温泉リゾート施設の計画が明らかになり、3人はこの周辺で調査をしていた可能性がある。

 住民から気になる話を聞いた。周辺の山は3~4月にかけて「山火事防止」のため立ち入り禁止になっていた。さらに近年、山間部に複数あった軍事施設が別の場所に移転したという。また、多くの港湾がある山東省には青島や威海に軍港があり、蓬萊にも小規模な軍の港湾施設があるという。この住民は「山間部にもレーダーやミサイルなどの軍事基地がひそかにできていることがあり、うかつに近づけない」と話す。この日も、周辺の道路を資材を積んだ軍用トラックの隊列が通っていた。

 ある住民は「青島や威海では外国人が拘束されたとよく聞くが、蓬萊では珍しい」と話した。

 一方、別の3人が拘束された中国南部の海南島。3人が調査していたとされる島最高峰の五指山(標高約1870メートル)の周辺も高級リゾート地だった。

 「温泉が出るので外国人もよく来るし、ホテルも相次いで開業している」と周辺のホテル従業員(55)は話した。一帯は温泉資源が豊富で、十数年前、日本人が温泉付きホテルをつくり、開発が本格化。ゴルフ場や別荘も急速に整備されている。従業員は日本人が最近、周辺で作業していたことは知らないという。

 三亜には中国海軍の軍港があり、中国初の空母「遼寧」が昨年末に寄港した。五指山からは約100キロ離れており、事件との関連は低いとみられるが、リゾート地から車で30分余りの五指山市中心部にも軍と武装警察の施設がある。3人は地震波や電流を流して地質を調べる専門の機械を使っていたため、不審な行為とみられた可能性はある。

 中国では測量などは厳しく管理されており、手続きに不備があると法に触れるリスクがある。地図データなどは国家機密とみなされる場合もある。日本地下探査は「一緒にやっている中国企業が調査許可をとっているはず」としているが、関係者は「地元側の許可に不備があった可能性もあるのではないか」とみる。

 6人は同時期に山東省と海南省でそれぞれ拘束されており、当局が連携を取っていた可能性が高い。

 6人は地元の国家安全当局の施設などで「居住監視」の状態で事情を聴かれているとみられる。日本外務省は、スパイ行為などを対象とする「国家安全危害罪」のどの条項に該当するのか説明を求めているが、中国側からは明確な説明がないという。(蓬萊=平賀拓哉、五指山=益満雄一郎)

2017年5月24日05時01分    朝日新聞デジタル