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忠犬リリ、車いすを押す 今日も飼い主とお散歩へ

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初めて三枝子さんを乗せて車いすを押すリリ。そばには政男さんが=5月21日、栃木県塩谷町、梶山天撮影

 栃木県日光市に隣接する塩谷(しおや)町で、飼い主が乗る車いすを押す犬が話題になっている。

 農業、斎藤政男さん(67)が乗る車いすを押すのは、雑種犬で4歳メスのリリ。「ありがとな。お前がいるから頑張れるよ」。斎藤さんは感謝の言葉を投げかける。

 車いすは、2010年に斎藤さんが寝たきりの母を介護するためにもらった。その母も13年2月に他界。半年後に生後4カ月の子犬を友人からもらった。それがリリだ。映画「男はつらいよ」の大ファンである斎藤さんは、「寅(とら)」と名付けようとした。妻の三枝子さん(66)が「女の子に『寅』はないでしょ!」と猛反発、今の名前に。

 それから、自宅周辺約1キロの散歩のお供にリリを連れて歩くのが日課となった。二十数年前に事故で脊髄(せきずい)を痛めた斎藤さんにとって、腰を曲げての農作業がつらい。3年前から散歩にも影響が出始めた。散歩は農作業を終えての昼食後にする。思い出したのが母を乗せた車いす。取っ手の両端を結んだひもの真ん中にリリの大好物の鶏肉をぶら下げ、後ろ脚立ちしていすを押すことができるか試した。斎藤さんは「あっという間に押すようになりました」と笑う。

 斎藤さんが車いすに乗るのは、散歩後半の自宅までの50から100メートル。疲れて歩けなくなった時だけ。必ずリリに「乗りたいんだけど、いいかな?」と聞いてから押してもらう。リリが「ハアハア」と口を開けて、前脚を車いすから離す時は拒否の合図だ。「きょうは暑いし、リリもきついか」とあきらめる。時折、バスが止まり、乗客が車窓から身を乗り出して、この散歩を見つめることもある。「感動するし、癒やされます。よっぽど大切に育てているんでしょう」と近所の人たちも話している。(梶山天〈たかし〉)

2017年5月23日09時37分    朝日新聞デジタル