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中東和平、仲介役か火種か トランプ氏がイスラエル訪問

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イスラエルのネタニヤフ首相(右)との会談で握手するトランプ米大統領(22日、エルサレム)=ロイター
 【エルサレム=永沢毅】中東歴訪中のトランプ米大統領は22日、エルサレム市内でイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。これに先立ち、トランプ氏は自身が「究極のディール(取引)」と称する中東和平交渉の打開に向け、イスラエルパレスチナ自治政府の仲介に意欲を表明した。ただ、仲介の具体像はまだ見えておらず、トランプ氏の言動が新たな火種を生む可能性もはらんでいる。
 「この地域に安全と安定、平和をもたらす、またとない機会が目の前にある」。トランプ氏はテルアビブ郊外の空港での歓迎式典でこう語り、交渉の仲介に改めて意欲を示した。ネタニヤフ氏は「今回の訪問が和解と平和に向けた歴史的な道しるべとなってほしい」と期待を表明した。

 その後、トランプ氏はイスラエルのリブリン大統領との共同記者会見でも「中東和平の実現をめざすという約束に感謝したい。私たちは目標を共有しており、達成に自信がある」と語った。ティラーソン米国務長官イスラエルに移動する機中で記者団に「和平交渉を進展させるいい機会だ。大統領はこの問題に力を注ぐつもりだ」と訪問の意義を訴えた。

 中東和平は歴代の米大統領が取り組んでは頓挫するという歴史を繰り返してきた。「イスラエルパレスチナのディールは恐らく達成するのが最も困難だと聞いている」。大統領として偉業をなし遂げたいと考えているトランプ氏だが、今月には和平実現の難しさに言及した。

 状況をさらに複雑にしているのが、ほかならぬトランプ氏自身の言動だ。ひとつは大統領選で公約に掲げたイスラエル米国大使館のテルアビブからエルサレムへの移転だ。昨年9月にネタニヤフ氏と会談した際、大統領に当選すれば、米国はエルサレムを「首都と認める」と約束した。

 ユダヤ教キリスト教イスラム教の聖地であるエルサレムイスラエルは「永遠の首都」と主張するが、中東諸国や国際社会は認めていない。米議会が制定したエルサレムへの米大使館移転を求める法律の執行を、歴代米政権は「安全保障上の問題」として大統領令で凍結してきた。移転を強行すればパレスチナを含むアラブ諸国全体の反発を招き、地域の安定を揺るがしかねない。

 米メディアは、トランプ政権が今回の訪問にあわせて大使館移転を表明する案を見送ったと報じた。米政府高官は「中東和平交渉の再開を困難にするため」と説明する。

 歴代の米政権が支持してきたイスラエルパレスチナの共存を目指す「2国家共存」に、トランプ氏が必ずしもこだわらない考えを示したことも波紋を呼んでいる。トランプ氏は2月、「2国家でも1国家でも、双方が望む方でいい」と表明。その後、「(2国家共存が)好ましい」とやや軌道修正したが、パレスチナ側は、トランプ氏のイスラエル滞在中の発言に警戒感を強めている。

 トランプ氏の対イスラエルパレスチナ政策のカギを握るのが、娘婿のクシュナー大統領上級顧問だ。ユダヤ系米国人のクシュナー氏はホワイトハウス内で、今回の中東歴訪の準備を主導してきた。トランプ氏からは中東和平交渉も委ねられている。トランプ氏は23日にパレスチナアッバス議長とも会談する。

2017/5/23 1:07    日経新聞