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全国一の生産量、安曇野産ワサビの生産量激減

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栽培を諦めたワサビ田の前で、厳しい現状について説明する有賀さん(長野県安曇野市で)

 全国一の生産量を誇る長野県安曇野市のワサビが、気温上昇や地下からの湧き水の減少などの影響で、生産量の減少に悩んでいる。

 同市産が9割前後を占めている県全体の生産量も、この10年で半減した。

 生産を諦め、荒れてしまったワサビ田も目立っている。同市は今年度から、より効率的に生産できるハウス栽培を検証し、産地再生を目指す。

 ワサビは環境の変化に敏感な作物で、きれいな水が豊富にあり、強い日光の当たらない涼しい場所が栽培の適地とされる。長野県のほか、静岡、岩手、島根県などが産地として知られる。

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 北アルプスの麓の同市では、山麓の湧水を利用し、扇状地のほぼ平坦へいたんな土地を掘り下げて育てる「平地式」と呼ばれる栽培法でワサビを生産している。主に傾斜地を使う他の産地と異なり、整地などが容易で効率的というメリットもあるが、気温の上昇や水害による影響を受けやすいとされている。

 国の統計によると、長野県産ワサビは2005年には1864トンと日本一の生産を誇り、全国生産量の4割強を占めていた。15年も867・9トンで全国1位は変わらなかったが、全国生産量における割合は約37%に下落。栽培面積も05年の108ヘクタールから、15年には41ヘクタールに激減した。安曇野市が昨年、ワサビ農家に実施したアンケートでは、生育の悪化により「ワサビ栽培をやめた」「ワサビ田を減らした」という農家が目立ったという。

 同市の委託を受けた信州大工学部の研究では、市内の地下水量は1986年頃から2007年頃にかけては減少傾向が続き、以後は横ばいだ。減反政策などで稲作の水田面積が減少した影響が大きいと分析する。

 近年は、気温や湧水の水温上昇などが見られるようになった。15ヘクタールのワサビ田を持つ大王わさび農場(安曇野市穂高)の浜重俊・広報室長(71)によると「以前はなかったが、水温で15度以上、気温で35度以上を観測することもある。暑いと害虫などの被害も出やすい」という。同農場では1985年には約300トンだった収穫量が、2011年に約170トン、16年には約130トンまで減った。

 これに対し、安曇野地域のワサビ農家には、ハウス栽培によって収量を確保する動きが増えている。信州山葵わさび農業協同組合の有賀均副組合長(51)は「ハウスだと強い日射も遮れる上、温度管理が容易。地区によっては半分ぐらいがハウスになった」と話す。

 ただ、ハウスの建設費は大きな負担だ。このため同市では、17年度予算に200万円を計上し、農家の協力を得て、比較的安価にできるパイプ式のハウスを数か所建設する。市は「様々な条件で栽培して最適なハウス栽培法を探り、産地の再生を目指す」としている。

2017年05月13日 19時00分    Copyright © The Yomiuri Shimbun