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学校史破損 : 17県51図書館で326冊

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破り取られた学校史=名古屋市の愛知県図書館で2017年5月2日、山衛守剛撮影

 公立図書館で、所蔵する学校史や学校記念誌の一部が刃物で切り取られたり手で破られたりする被害が、17県の51館で確認された。毎日新聞の調査で分かった。破損されたのは少なくとも計326冊・2773ページに上る。一部の県警は器物損壊容疑で捜査を始めたが、犯人像の特定は容易でない。日本図書館協会(東京都)も被害の実態調査に乗り出した。【まとめ・山衛守剛】

 岐阜県が1日に県図書館での被害を公表して問題が発覚し、その後、各地で破損が見つかった。毎日新聞は47都道府県と20政令市の教育委員会や警察などに被害状況や対策を取材した。

 被害が確認されたのは、岩手、宮城、秋田、栃木、群馬、神奈川、富山、石川、福井、山梨、岐阜、静岡、愛知、三重、香川、福岡、佐賀の各県。図書館数では石川、福井の10館、破損冊数・ページ数では福井の少なくとも計132冊・1248ページが最も多かった。

 多くは岐阜県の公表を受けての調査で発見されたが、福井県立図書館は2015年12月に被害が分かり、今年3月までに93冊・計786ページの破損が判明した。富山県立図書館は1冊24ページが破られているのを約2年前に把握した。

 破損されたのは大半が開架資料で誰でも手に取れる状態だった。ただ、貸し出し不可のものが多く、書庫の閉架資料の被害もあり、館内での行為が中心とみられる。主に学校行事や部活動の写真、卒業生の集合写真の部分が刃物で切り抜かれたり、手で破られたりしていたが、ページごと抜き取られるケースもあった。

 被害図書館の多くは対策として、学校関連の図書を書庫に移動して閲覧を請求式にしたり、職員がいるカウンターそばに移したりした。

 石川県小松市立図書館は学校記念誌を閲覧禁止にした。

 一方、群馬県立図書館は「ほとんどの人はマナーを守っているので、利用制限につながることはしたくない」と見回りを増やすにとどめている。

 日本図書館協会の西野一夫専務理事は「学校史などは部数が少なく新たに求めることも難しい。回復不能なケースも多い。胸が引き裂かれる思いだ」と話した。

 ◇誰が何の目的で

 全国各地の公立図書館で確認された学校史や記念誌の切り取り・破り取り。多くは貸し出しがされておらず、他の利用者もいる館内で行われたとみられる。しかし、犯人に関する情報は乏しく被害も広がり、警察による器物損壊容疑での捜査は難航が予想される。

 「犯行時期が特定できない上、単独犯か複数犯かの絞り込みも困難。模倣犯がいる可能性もある」。被害届を受けた愛知県警の幹部はそう漏らす。これまで不審者情報はないという。

 図書館の多くは館内を撮影する防犯カメラを設置していない。利用者が読んだ本の特定につながり、憲法が保障する思想・信条の自由に抵触しかねないとの考え方からだ。職員によるチェックが頼りで、被害に遭った図書館では見回りを強化したところも目立つ。

 各地の被害は1日の岐阜県の公表を機に明らかになったが、犯行時期はまちまち。名古屋市の市立鶴舞中央図書館は2日に全約750冊を調査して5冊7ページの被害を確認したが、6日の再調査で新たに13冊154ページの被害が見つかった。

 一方、石川県輪島市立図書館では数年前に被害が発覚し、富山県福井県でも、以前から破損が確認されたケースがあった。

 被害に遭った本の発刊時期は1960年代から数年前までと長期にわたり、捜査関係者は「犯人の目的を見定めることも難しい」と話す。愛知県図書館は小中高関係の611冊中68冊が被害に遭ったが、近くに置いていた幼稚園・大学関係に破損は見つかっていない。【道永竜命、横田伸治】

毎日新聞    5/13(土) 7:10