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森友問題、深まる謎 発覚3カ月、8億円値引きなぜ?

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森友学園が開校を断念した小学校の建設現場

 学校法人「森友学園」(大阪市民事再生手続き中)への国有地売却問題は、発覚から3カ月が過ぎた。大阪府豊中市の国有地はなぜ、小学校の建設用地として、近隣の国有地の1割ほどの値段で売却されたのか。国会論戦や証人喚問を経てもなお、多くの謎が解明されないままだ。
 「神風が吹いた」。学園の籠池(かごいけ)泰典・前理事長が表現した通り、異例ずくめの土地取引だった。国土交通省大阪航空局が管理していた国有地は、財務省近畿財務局が定期借地契約から売買契約に切り替え、10年の分割払いまで認めて学園に渡った。

 最大の謎は、売却時に更地の鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円を引いた根拠だ。財務省は当初、大阪航空局が撤去費を見積もったとしていたが、近畿財務局と大阪航空局が協議して決めたと説明を変えた。

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籠池泰典

 撤去の対象面積は敷地(8770平方メートル)の約59%の5190平方メートル、深さは杭を打つ部分が9・9メートル、他は3・8メートル、ごみの混入率は47・1%。ごみは1万9500トン(1万2200立方メートル)となり、工事基準をあてはめて算定したという。

 しかし面積も深さも混入率も「不自然」と指摘されている。

 対象面積には、2009年度に国交省が敷地全域をレーダー探査して68地点を試掘した調査結果で、全く生活ごみが出ていない15地点も含まれている。

 深さは、昨年3月に施工業者が9・9メートルまで杭を打った際に「新たなごみ」が見つかり、3・8メートルまで試掘した数カ所でもごみが出たとの報告に基づく。国交省航空局は、ドリルの先に絡んだごみを業者が撮った写真やごみの山を、大阪航空局の職員が確認したと説明する。だが掘削の様子は見ていない。

 ごみの混入率は、09年度調査の68地点で平均20・7%。今回の対象面積には43地点が入るが、大阪航空局はごみがあった28地点の数値だけを平均して47・1%とした。民進党は「恣意(しい)的だ」と追及している。

 09年度調査の報告書によると、3メートルより深い所でごみが見つかったのは5地点で、最深は3・3メートル。敷地全域の3メートル付近より下は粘土だ。ごみ混入率が最高の74・2%だった北側の1地点も、深さ0・5~3メートルは「廃材・ごみの層(木材・生活用品など)異臭あり」だったが、その下は粘土だった。研究者は「3メートル付近より深い所は古くからの堆積(たいせき)層」と指摘する。

 財務省は「瑕疵(かし)担保責任の免除」を契約に盛り、後で新たなごみが見つかっても国が責任を負わない代わりに撤去費を最大限に見積もったとの立場だ。

 だが見積もりの元データは、大阪航空局ではなく、学園側が提供した。籠池氏は4月28日、民進党の聞き取りに対し、大阪航空局の見積もり前に、施工業者が複数パターンの資料を出したと明かした。施工業者も取材に「最終的な工事単価はすべてうちが出した資料の1・1倍になっていた」と話した。

 国交省の関係者によると、見積もりは「異例の早さ」で完成した。近畿財務局が昨年3月30日、大阪航空局に「約2週間で作成を」と依頼。同4月14日に提出され、翌日には不動産鑑定士を呼んで近畿財務局で打ち合わせたという。関係者は「当時あるデータを使って計算した。時間がなかった」と話した。

森友学園に関わる主な疑惑

大阪府豊中市に設置を目指した小学校の建設費として2015年12月3日付で、金額の異なる3通り(府に7億5600万円、関西エアポートに15億5520万円、国に23億8464万円)の契約書を提出。国から木材を活用した校舎の建築費に関する補助金5644万円を受けとり、その後に返還。関西エアには空調設備に関する助成金を申請していたが、取り下げた。

◇小学校建設を予定していた国有地の汚染除去工事費として建設会社(大阪市)に約1億3千万円を支払った直後、同社から約2千万円を受け取り、工事費を国に水増し請求した疑い。

◇運営する塚本幼稚園(同)の常勤職員が、関連する保育園の職員を兼任し、専従で受け取ることのできる府の補助金を不正に受給した疑いがある。

◇塚本幼稚園で、障害のある幼稚園児数に応じて受け取ることのできる府の補助金を実態より多く受け取った疑い。受給要件となる保護者の同意書を取っていなかったり、同意の確認を取ってなかったりするなどした可能性が浮上。提出した診断書の改ざんの疑いも。

◇関連の保育園で、常時専従している園長を置く場合に加算される大阪市の委託費を不正に受給した疑いがある。籠池泰典氏の妻が保育園の園長と幼稚園の副園長を兼任していた。

◇小学校の設置認可をめぐり、府私学審議会への報告で、愛知県の海陽中等教育学校への推薦枠があると事実と異なる記載。判明後、学園側は、「勘違いでおわびしたい」などと釈明。

◇小学校に採用予定として府私学課に提出した教員リストに受諾のない教員名を無断で掲載。学園側は「認識の相違だ」と弁明。

◇府私学課に提出した籠池氏の経歴で「自治省入省、奈良県庁出向」と書いて提出。その後、学園側は「自治省に『出張した』という話をアルバイトが『出向した』と書き間違えた」と弁明。また関西大商学部卒だが、法学部卒と書かれた。

2017年5月13日05時05分    朝日新聞デジタル