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「沖ノ島」世界文化遺産へ 宗像三女神を引き裂く勧告、“辞退”の選択肢も 福岡

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世界遺産登録を勧告された沖ノ島と除外された4件

 「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産登録について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が出した勧告は、考古学的な価値を重視し、沖ノ島以外の4つの構成資産を除くよう求めた。3カ所に祭られた「宗像三女神」を引き裂くような勧告に、地元は落胆した。 (小路克明)

 「宗像大社と古墳群は、総体として一つの文化、文明だ。沖ノ島以外の資産を除いた勧告は非常に残念」。ユネスコへの推薦書案づくりに携わった西谷正・九州大名誉教授(考古学)は、こう語った。

 沖ノ島からは「海の正倉院」と呼ばれるほど、数多くの遺物が見つかった。考古学ファンならずとも、ため息が出る素晴らしい品ばかりだ。

 だが、沖ノ島の祭祀(さいし)は、大島にある「中津宮」や九州本土にある「辺津宮」と切り離しては存在しない。

 「三柱の神」にも意味がある。沖ノ島の祭祀を支えた宗像(胸肩)族は、三女神を奉じた。宗像族と同じように航海術にたけた阿曇(あずみ)(安曇)族は綿津見(わたつみ)三神を祭る。阿曇族は宗像からもほど近い志賀島福岡市東区)を本拠地にした。同様に海に縁がある「住吉神社」も祭神は3柱の神だ。

 古代日本人の海への信仰と、3という数字は何かの関係があったのだろう。

 だが、勧告は中津宮や辺津宮について「顕著な普遍的価値があると証明していない」と指摘した。信仰面の意義や価値を、考慮しなかったといえる。

 九州・山口はこれまでも、世界遺産に振り回された。「明治日本の産業革命遺産」では、韓国政府が「半島出身者の強制労働の場が含まれる」などと主張し、揺さぶりをかけた。

 今回、宗像の地元からは、中津宮など除外された資産も含めて、逆転登録を求める声が上がる。

 だが、勧告を覆す道は険しい。沖ノ島だけが登録され、何千年も守り続けた信仰の体系に、ひびが入るようなことになれば、本末転倒だ。あえて「辞退」という選択肢もある。

 世界遺産は誇らしいことだが、登録されなくとも宗像大社に象徴される信仰の重みが変わることはない。

産経新聞    5/7(日) 7:55

 

 

世界遺産 : 除外の4件、復活目指す 福岡・沖ノ島登録へ

 福岡県宗像(むなかた)市の沖ノ島国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通しとなった。文化庁は6日記者会見し、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)が登録を勧告したと発表した。しかし、「現代まで続く信仰の文化価値」があるとして日本政府が合わせて推薦した関連遺産4件は除外するとの「条件付き」。松野博一文部科学相は「今後の対応方針を関係機関と相談し、最善を尽くしたい」との談話を出した。

 登録が勧告されたのは、日本が推薦した「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」のうち、沖ノ島岩礁の「小屋島(こやじま)」「御門柱(みかどばしら)」「天狗(てんぐ)岩」。勧告は古代祭祀(さいし)の考古学的物証があり、普遍的価値があると評価した。関連遺産の宗像大社の「沖津宮遥拝(おきつみやようはい)所」や、同県福津市の「新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群」など4件は「世界的な価値とは認められない」と結論づけた。

 福岡県の小川洋知事は6日、4遺産が除外されたことについて「非常に残念で厳しい勧告だ」と述べ、全て遺産の登録を目指す考えを示した。

 2013年に富士山(山梨、静岡両県)の登録では、イコモスが三保松原の除外を勧告したものの、日本政府は「文化遺産としての富士山に欠かせない存在」と丁寧に説明し、登録が認められた。一方、11年登録の「平泉」(岩手県)では、藤原氏の居館跡である柳之御所遺跡を除外する勧告を受け入れ、追加登録を目指している。

 世界遺産への登録は7月2~12日にポーランドで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる。登録されれば、日本の世界遺産は自然遺産(4件)も含め21件目となる。【伊澤拓也】

毎日新聞    5/6(土) 22:16