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独ロ首脳、緊張緩和へ対話 ウクライナ・シリア溝深く

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ドイツのメルケル首相とロシアのプーチン大統領(2日、ロシア・ソチ)=ロイター

 【ソチ=石川潤】ロシアのプーチン大統領とドイツのメルケル首相は2日、ロシア南部のソチで会談した。武力衝突が続くウクライナの和平や泥沼化するシリア情勢の改善が議論の中心で、プーチン大統領は記者会見で「(危機の解消のために)独仏ロとウクライナが作業を進めていかなければならない」と強調した。会談には、米トランプ政権の誕生で世界の秩序が揺れるなか、独ロ関係の悪化に歯止めをかけ、危機回避に向けた対話の窓を開く狙いもあった。
 メルケル首相のロシア訪問は2年ぶり。7月にドイツのハンブルクで開くG20首脳会議(サミット)に向けた準備という意味合いもあるが、会談の時間の多くはウクライナとシリアの問題に割かれたもようだ。

 ウクライナ東部では、ロシアが支援する親ロ派武装勢力と政府軍の戦闘が1月以降、激しくなっている。4月には停戦状況を見守る欧州安保協力機構(OSCE)の監視団の米国人が親ロシア派の支配地域で死亡する事件もあった。停戦合意の順守を求めるドイツと、親ロ派を通じてウクライナ全体への影響力を高めたいロシアの思惑はすれ違い、緊張緩和の糸口を探る必要があった。

 シリア情勢では、アサド政権を支援するロシアと、化学兵器を使用したとしてミサイル攻撃に踏み切った米国の対立が深刻で、メルケル首相は米ロの歩み寄りを促したとみられる。シリアの混乱が深まればテロ組織の根絶は難しくなり、欧州の難民問題にも影響する。対テロなどで共通の利益を探ろうとしている。

 深い溝が一気に埋まるとの期待はドイツ側にもロシア側にも乏しい。ただ、トランプ米政権の誕生で世界の安全保障の先行きが読みにくくなるなか、偶発的な危機を避けるためにもトップレベルの対話が必要だと両者が判断した。ロシア側にはウクライナ危機を演出して欧州の雄であるドイツを対話の場に引き出し、制裁解除などに向けた足場を作りたいという思惑も見え隠れする。

 ドイツでは、ロシアが極右勢力への資金支援や情報操作を通じて、欧州の主要選挙に介入しているとの見方が強い。7日のフランス大統領選挙の決選投票や9月に控えるドイツ連邦議会選挙への介入を避けるようクギを刺す狙いもドイツ側にはありそうだ。

 ドイツはロシアへの経済制裁を続ける一方、ガス調達などでロシアとの関係を深めている。会談では、エネルギー分野を中心とした両国の経済関係の改善についても話し合ったとみられる。

2017/5/2 23:51    日経新聞