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旅券返納命令は妥当…シリア取材計画の男性敗訴

 イスラム過激派組織「イスラム国」の勢力圏があるシリアでの取材を計画していた新潟市在住のフリーカメラマンが、外務省から旅券(パスポート)の返納を命じられたのは不当だとして国に命令の取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁は19日、請求を棄却する判決を言い渡した。

 古田孝夫裁判長は「原告の生命や身体を保護するために渡航を中止させる必要があるとして、返納を命じた外務省の判断に裁量権の乱用などはなかった」と述べた。

 判決によると、フリーカメラマンの杉本祐一さん(60)は2015年2月27日に日本を出発し、トルコ経由でシリア北部に入る計画を立てたが、外務省は同月6日付で旅券の返納を命令。杉本さんは翌3月に改めて旅券の発給を申請したが、新たな旅券ではシリアとイラクへの渡航が制限された。杉本さんは訴訟で、「海外渡航や取材・報道の自由の侵害にあたり、違憲だ」と主張していた。

 判決は、当時のシリア情勢について、〈1〉政権側や反体制組織などの活動で紛争状態となっていた〈2〉特に15年1月末から2月にかけては「イスラム国」が日本人2人を殺害したとする映像を公開し、今後も殺害を続けると表明していた――と指摘。「シリア付近に渡航すれば危害が及ぶ可能性が高いとした外務省の判断は合理的だった」と述べた。

 さらに、「命を懸けて取材や報道を遂げようとする姿勢は崇高だが、憲法がどんな場合にも、国民の生命や身体より、取材や報道の自由を優先して保護すべきだとしているとは解釈できない」と言及。命令や制限に違憲・違法な点はなく、妥当だったと結論付けた。

 判決後、記者会見した杉本さんは「非常に残念。旅券の返納や渡航の制限をされると、真実の追求ができなくなる」と話し、控訴する意向を示した。

2017年04月19日 21時59分    Copyright © The Yomiuri Shimbun