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救出中に死亡したのは銀行員の男性 川崎の京急踏切事故

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事故の状況

 川崎市川崎区の京急八丁畷(はっちょうなわて)駅近くの踏切で15日朝、男性2人が電車にはねられ死亡した事故で、川崎署は16日、70代とみられる男性を救い出そうとした男性は、横浜市鶴見区尻手1丁目の会社員児玉征史さん(52)だったと発表した。
 児玉さんは横浜銀行勤務で、同行によると人財部主任人事役。遺族は「突然の出来事であり、ただただ驚くとともに現時点では心の整理がつかない状態です」とのコメントを出した。

 署によると、踏切に設置されたカメラには事故直前の男性2人が映っていた。15日午前9時過ぎ、70代男性は乗ってきたタクシーを駅前で降り、警報灯が点滅を始めた後、踏切の中に入っていった。遮断機は下りていなかったとみられる。児玉さんは、向かい側から踏切を渡り終えたところだったが、70代男性の姿に気づき、声をかけたり、手を動かしたりした。約10秒間動作を続けた後、児玉さんも踏切内に入っていった。

 その後、下り快特電車が踏切内に進入した。電車の運転士は児玉さんが70代男性の腰の辺りに手を掛けて踏切の外に連れ出そうとする様子を目撃していたという。警報灯が点滅してから、通過する電車が映り込むまでの時間は約45秒だった。児玉さんは70代男性と面識がなかったとみられている。(山下寛久)

■勇気をたたえ現場に次々

 事故から一夜明けた16日、現場には花束を手向け、冥福を祈る人が相次いで訪れた。

 現場は川崎市川崎区と横浜市鶴見区の境付近。鶴見区の石川みゆきさん(56)は「救おうとした男性の勇気をたたえたいと思って花を供えに来た」と話した。よく通る道だといい、「(児玉さんは)自分と同世代。自分だったらできないと思った。悲しい。ご冥福をお祈りしたい」と涙をぬぐった。

 自転車で訪れた鶴見区の男性(65)は踏切前で直立し、独学したという般若心経を唱えていた。児玉さんについて、「困った人がいればすぐに助けに行かなければならないという気持ちだったのだろう」と言葉少なに語った。

 八丁畷駅は普通電車しかとまらず、頻繁に遮断機が下りる。車いすに乗っている川崎区の男性(64)は「閉じかけているのに渡る大人が結構いて、危ないと感じていた」と話した。

 川崎市消防局によると、事故直後に神奈川県警から連絡があり、救急車2台など5台が出動した。70代とみられる男性はけがの程度がひどく、搬送しなかった。児玉さんは川崎区にある市立川崎病院に運んだが、間もなく死亡が確認されたという。(河井健)

2017年4月16日22時50分    朝日新聞デジタル