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噴き出す米への憎悪 シリア首都市民「将来さらに暗く」

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ダマスカス旧市街。7日は金曜日とあって店の多くは閉じ、人の姿はまばらだ。閉じられたシャッターにはシリア国旗が描かれている=小森保良撮影

 米軍がアサド政権軍の基地にミサイル攻撃をした7日(シリア時間)、シリアの首都ダマスカスは金曜日の休日で閑散としていた。それでも記者が街で人々の話を聞くと、ミサイル攻撃に踏み切った米国を憎悪する声が一様に返ってきた。

 古代から東西交流の拠点として栄え、いつもは買い物客やイランなどからの巡礼者でにぎわうダマスカス旧市街を訪ねた。婚約者と散策を楽しんでいた公務員アンマール・マイヤさん(26)は「シリアへの攻撃はテロリストを喜ばせるだけだ」と述べ、米国を激しく非難した。

 シリアは情報統制が厳しく、外国人記者の取材には必ず、情報省の担当者が同行する。今回の取材でも担当者が記者のそばを離れなかった。その一方、インターネットの閲覧やテレビの視聴は自由で、市民は外国メディアの報道に自由に接することができる。

 マイヤさんは「CNNもBBCも見ている。シリアに対する見方が偏っていて悔しい。米国は、証拠がないのにシリア軍が化学兵器を使ったと決めつけ、攻撃した。どこに大義や正義があるんだ」と話した。

 夜勤を終え、カフェで朝食を取っていた看護師シェリーン・アスアドさん(24)とマラハ・ターヘルさん(25)は「私たちも、多くの人々と同様、毎日の生活に疲れている。攻撃でさらに暗い将来になるのかしら。きょう一日を精いっぱい生きるのがやっと」と口をそろえた。今後、米国の大規模な軍事介入につながることが心配だという。

 イラクの首都バグダッドから観光でやってきたというムハンマド・ハサンさん(60)は「米国はイラクで犯した過ちをシリアで繰り返している」と話した。

 2003年のイラク戦争で米国などは、当時のフセイン政権による大量破壊兵器の隠匿を開戦の理由とした。その後、大量破壊兵器は見つからず、開戦の大義は否定された。

 ハサンさんは「米国のため、戦争から10年以上経ってもイラクは混乱している。そしてシリアという国を混乱に陥れようとしている。米国は大統領が代わっても、過去に学ばない愚かな国だ」と切り捨てた。

 この日、旧市街で開いている店はまれだ。金属細工商のムハンマド・アッザさん(40)は文様を彫る作業をするため、店を開けていた。「米国民に大統領を選ぶ権利があるのは分かるが、私たちに災難をもたらす大統領は何とかならんかね」

 長男アクラム君(10)は医者になるのが将来の夢だが、100年以上続く家業を継ぐため、修業も始めているという。アッザさんは「アクラムが夢を持ち続けられる世界であってほしい」と穏やかに話した。

 旧市街近くでは3月に自爆テロなどが相次ぎ、犠牲者が多数出ている。ダマスカス郊外では、アサド政権軍による反体制派武装組織への攻撃が続いており、旧市街でも時折、爆音が聞こえる。

 それでも平日は市民でにぎわい、イスラムシーア派のイラン人らが聖地巡礼のため数多く訪れる。この日も、大型バスで乗り付けた巡礼者の姿を数多く見かけた。

 旧市街の住民の一人は「テロを恐れていては生活できないし、米国がどんなことを仕掛けてきても、これまで通りの暮らしを続けるつもり。もちろん戦争なんかご免だけどな」と話した。(ダマスカス=小森保良)

2017年4月7日20時55分    朝日新聞デジタル