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原発事故で国の責任認定 前橋地裁「津波は予見できた」

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廃炉に向けた作業が進む東京電力福島第1原発(2016年10月、福島県大熊町
 福島第1原子力発電所事故後に福島県から避難した住民らが国と東京電力に損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、前橋地裁(原道子裁判長)は17日、「津波の到来を予見でき、事故を防ぐことができた」としてそれぞれの賠償責任を認めた。原発事故で国の賠償責任を認めた判決は初。東電に適切な安全対策を取らせなかった点を違法とした。
 原発事故の集団訴訟は18都道府県で約1万2千人が争っている。判決は前橋地裁が初めて。

 原裁判長は判決理由で、2002年7月に政府の地震調査研究推進本部がまとめた長期評価の想定を根拠として挙げた。マグニチュード(M)8クラスの地震が指摘され、「遅くとも02年7月から数カ月後の時点で、事故を発生させる規模の津波の到来を予見できた」とした。

 そのうえで、東電が配電盤や非常用発電機を高台に設置するなどの対策をとらなかった点を過失と認定。津波によって配電盤が水をかぶり、事故が起きたと結論づけた。「常に安全側に立った対策を取らなければならないのに、経済的合理性を優先させたと言われてもやむを得ない対応だった」と、同社の安全対策を厳しく批判した。

 国についても「東電の自発的な安全対策が期待できないことを認識していた」と指摘。配電盤を上階に置くなどの対策を命じれば事故を防げたとし、「国の対応は著しく合理性を欠き、違法だ」と結論づけた。

 今回の訴訟で、東電や国は「長期評価は科学的知見として不十分で、事故は予見できなかった」として過失を否定。国は「東電津波対策を命じる権限がなかった」とも主張したが、判決はいずれも退けた。

 訴えを起こしたのは、福島県から群馬県に避難した住民ら137人。国と東電に1人あたり1100万円(総額約15億円)の慰謝料などを請求した。判決はこのうち62人の請求の一部を認め、国と東電に計3855万円の賠償を命じた。

 年齢や避難の経緯をもとに個別に金額を検討し、支払い済みの賠償金との差額を算定。避難指示区域内にいた原告19人の賠償額は75万~350万円で、指示区域外から自主避難した原告は7万~73万円だった。

 国の審査会の指針にもとづく賠償額の妥当性も争われた。原告側は「自主避難かどうかで賠償の差が不公平すぎる」と訴えたが、判決は指示区域内外の差は増額の要素にならないとした。

 判決後、東京電力ホールディングスは「判決内容を精査し、対応を検討していく」とコメントした。

2017/3/17 21:19    日経新聞