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「北朝鮮、化学兵器を配備」 脱北の元駐英公使テ・ヨンホ氏

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日本経済新聞などの取材に応じた太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使(8日、ソウル)=代表撮影
 【ソウル=峯岸博】昨夏に韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は8日、ソウルで日本メディアとの記者会見に応じた。北朝鮮は1960年代末から生物・化学兵器の生産を始め、韓国の市街地を攻撃する準備を整えていると指摘。金正男キム・ジョンナム)氏殺害を巡り、その息子ハンソル氏についても「金正恩キム・ジョンウン、委員長)の立場からすると消えるべき存在だ」と語った。
 金正男氏の遺体からは化学兵器となる猛毒VXが検出された。脱北者の太氏は「北朝鮮は韓国との休戦ライン(南北軍事境界線)一帯に1千余りの長距離砲を配置している」「北朝鮮では家庭や職場まで生物・化学兵器戦に備えた装備や解毒剤を持っている」と話した。

 正男、ハンソル両氏の存在は北朝鮮住民には知られていないと断言。建国の父、金日成主席の直系である「白頭血統」のハンソル氏は正恩氏にとって脅威になる可能性を示し「どれだけ生きることができるかは見極めるべき問題だ」と述べた。

 6日の4発の弾道ミサイル発射は「空中爆発やミスで北朝鮮領土に一発も落ちないとの自信を示し、核保有国の地位を認めさせる」ことが目的の一つだとした。正恩氏は核を放棄しないと明言し、理由として(1)核兵器があれば米韓が絶対に攻撃できないと確信している(2)偉大な指導者のイメージを北朝鮮住民に刻印するため――と分析した。

 「金正恩の統治スタイルが世界にどう見られているかは関係ない。金正恩が恐れるのは内部の住民やエリート層にどう見られるか。うまくコントロールできれば祖父や父のように長期政権を実現できる(と考えている)」との見方を示した。

 一方で「中国が金正恩政権を崩壊させようとすれば2、3年ももたない。北朝鮮とのあらゆる貿易を中止し、中朝国境を封鎖すればよい」と語った。ただ「中国にとって北朝鮮は緩衝地帯で、核を奪うより政権安定の保証が一番の関心だ」とし、中国の強硬姿勢は望めないとの認識を示した。

 仮に米朝交渉などを通じて、北朝鮮が核実験やミサイル発射を凍結する見返りに、軍事演習の中止や制裁解除、経済支援に応じれば「自然と北朝鮮の核保有国の認定につながり危険だ」と懸念を表明。さらに、北朝鮮の核問題を解決するには「政権を崩壊させる方法しかない」と言い切った。

 北朝鮮経済に関し「金正恩平壌の建設に集中している。北朝鮮の経済構造をさらに悪化させている」とし、特にエネルギーと食糧問題が解消できていないと指摘した。

 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんについて「死亡したと聞いていた」と述べた。北朝鮮外務省の担当部署からの伝聞としたが、信ぴょう性は不明だ。北朝鮮は「拉致問題を解決すれば日本からどんな経済的恩恵をもらえるのかに関心を持っている」と語った。

 太永浩(テ・ヨンホ)氏 在英国北朝鮮大使館に公使として在任中の2016年夏、妻と子どもを伴って韓国に亡命した。韓国入りし公開された元北朝鮮外交官では最高位級。現在は韓国情報機関、国家情報院傘下の国家安保戦略研究院の諮問研究委員。韓国メディアによると、1962年生まれで、北朝鮮外務省で欧州連合(EU)担当課長兼欧州局長代理などを歴任した。詳しい経歴は北朝鮮に残る親族らへの影響を考慮し明かしていない。

2017/3/9 1:04    日本経済新聞 電子版