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阿修羅像、制作当初は正面で合掌 CT画像解析で判明

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阿修羅像のCTスキャン画像(興福寺提供)

 天平彫刻の傑作、奈良・興福寺の国宝阿修羅像(734年、脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり))について、1300年前の制作当初は両腕を正面で合掌させていた可能性の高いことが、九州国立博物館(福岡県太宰府市)などの研究チームの調査で分かった。X線CTスキャン画像の解析で、明治時代に再接合された修理の詳細が判明。本来合掌していなかったとの見方もあったが、内部の芯木の復元実験も行い、合掌の姿勢が妥当と判断された。

 阿修羅像は奈良時代以来、火災や地震、戦災などをくぐり抜けたが、転倒などで6本ある腕のうち数本が損なわれた。1902~05(明治35~38)年の修理で、最も正面に近い左右2本の腕のうち、ひじから先がなくなっていた右腕などが補われた。それ以降、この2本の腕は体の正面より左寄りの位置で合掌する姿になり、本来は合掌と違う姿で、何らかの法具か宝物を手にしていたのではないかとの見方も出ていた。

 CT撮影は、2009年の「国宝 阿修羅展」に合わせて九州国立博物館で行われた。その後、今津節生・奈良大教授(保存科学)らが解析を続けた。その結果、正面側の両腕のわきの下に木屎漆(こくそうるし)(木粉と漆のペースト)が詰められ、それが両ひじを外側へ開き気味に押し上げていたことが判明した。

 ログイン前の続き研究チームによれば、木屎漆を除去し、修理前の姿に戻せば、左の手のひらが現状より約2センチ内側、仏像の中心軸(正中線)上に乗り、胸のほぼ正面に来ることが分かった。右腕の角度も狭まり、合掌以外のポーズは取りにくい状態とされる。像内の芯木を原寸大で復元した実験でも同じ結果が得られた。CTスキャンのデジタルデータで構造を細部まで立体的に把握・再現でき、制作当初の姿に迫ることができたという。

 金子啓明・東京国立博物館名誉館員(日本彫刻史)は「胎内構造の復元実験からも両腕のひじが張っていなかったことを確かめ、阿修羅像が現状よりもっと自然に合掌していた可能性が高まった。仏像に手を加えない先端科学による重要な発見だ」と話す。

 この結果は、25日に東京・有楽町であるシンポジウム「阿修羅像を未来へ―文化財保護のこれからを考える―」(興福寺朝日新聞社主催)で報告される。聴講募集はすでに締め切っている。(編集委員・小滝ちひろ)

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 〈阿修羅像〉 光明皇后が734(天平6)年、興福寺に母・橘三千代の菩提(ぼだい)を弔うために西金堂をたて、本尊・釈迦如来を守る八部衆の一体としてつくられた。高さ1・53メートル、重さ約15キロ。戦闘的な神で憤怒の形相が一般的だが、興福寺の像は少年の表情。2009年に東京と福岡であった「国宝 阿修羅展」には約166万人が訪れた。

2017年2月22日08時37分    朝日新聞デジタル