自然動物園のサルの檻のイメージ
千葉県富津市は20日、ニホンザルを飼育している高宕山(たかごやま)自然動物園(同市豊岡)で、164頭のうち、約3分の1の57頭が特定外来生物のアカゲザルとの交雑種であることが分かり、駆除したと発表した。同県の房総半島では、ニホンザルの生息域で野生化したアカゲザルとの交雑が進んでおり、市が昨秋から同園の全頭についてDNAの調査をしていた。
同園はサルの動物園で、県から許可を得て、ニホンザルの一群を、檻(おり)の中で飼育している。アカゲザルやその交雑種は生態系に悪影響があるとして外来生物法の規制対象になっており、同園で飼うことは認められていない。
ただ、サルが檻のすき間などから外に出てしまうことがあり、園外でのアカゲザルとの交雑が懸念されていた。市は、京都大学霊長類研究所などに委託して調査し、その結果、57頭が交雑種と判明し、駆除したうえで15日に慰霊祭を開いて弔ったという。
アカゲザルは1960年代から房総半島南部で目撃され、県は2005年から全頭駆除に乗り出した。この間、交雑が進み、高宕山自然動物園のニホンザルの群れにも交じるようになったとみられる。
同園は今後、サルが園外に出ることがないよう、管理態勢を厳格化する考えだ。
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環境省によると、外来生物法が2013年に改正され、輸入や飼育が原則禁止される「特定外来生物」に交雑種が指定できるようになった。翌14年6月にニホンザルと外来種であるタイワンザル、アカゲザルとの交雑種が指定された。
同省の告示で、特定外来生物の防除方法の一つとして、できる限り苦痛を与えない方法で殺処分することとしている。
日本固有のニホンザルの生態系に悪影響を及ぼすとして、タイワンザルやアカゲザルの捕獲・駆除は、これまでも、静岡県、和歌山県、千葉県などですすめられてきた。
外来生物対策室の担当者は「特定外来生物は、絶対に外へ逃げられないような施設での管理が難しいならば、飼育しているだけで法律違反になってしまう。(今回の殺処分は)やむを得ない」としている。(堤恭太、服部誠一)
2017年2月20日21時46分 朝日新聞デジタル