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高崎山の雄ザル幹部、雌を追い?別の群れへ移籍

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6日ぶりに姿を見せ、餌に群がるC群のサルたち(1月15日)

 野生のニホンザルの餌付けで知られる高崎山自然動物園大分市)で、約15年にわたって最大の群れを形成してきたC群の幹部クラスが、ライバルのB群に移籍する現象が相次いでいる。


 両群の頭数は逆転。C群には、園内の人気ナンバーワンを決める「総選挙」で2年連続、雌の1位となった子ザル「シャーロット」も所属するが、C群が消滅する可能性も指摘されており、動物園は観光に影響が出ないか心配している。

 ■2つの群れ

 1月15日午前、山麓にある園内の「寄せ場」にC群のサルたちが集まり、餌の小麦を食べていた。C群が姿を見せたのは6日ぶり。動物園ガイドの藤田忠盛さん(46)は「冬は山に餌が少ないので心配していた。下りてきてくれて、ホッとした」と話した。

 藤田さんらガイドは日頃から、寄せ場に下りてきた際に点呼を行い、幹部のサルたちの様子を確認している。

 動物園によると、高崎山では1953年には一つの群れ(A群)しかなかったが、59年に一部がB群を結成し、63年にA群が再分裂してC群も誕生。2002年にA群がC群との抗争に敗れて事実上消滅して以降、C群がB群を上回っていた。

 ■ ボスの不在

 異変が起きたのは昨年の初夏以降。C群幹部の「オオムギ」はB群の雌に興味津々で、5月にボスに就任してから群れを不在にすることが多くなった。6月には、序列3、4、6位のサルが雌を追って移った。前ボスでナンバー2の「ゾロメ」も7月からB群と行動を共にし、今年1月1日付で移籍が正式認定された。

 サル社会で、はっきりとした序列があるのは雄だけ。高崎山ではB、C群とも10位前後まで確認されている。別の群れに移ると、それまでの地位や年齢にかかわらず、序列は下位になる。雌は一生同じ群れで暮らすという。

 動物園は「雄が他の群れの雌を追って移籍することはよくあるが、幹部クラスがまとまって移るケースは珍しい」と説明する。

 昨年11月28日~12月9日の調査では、B群が706頭(前年比26頭減)、C群が659頭(同131頭減)と勢力が逆転。幹部の相次ぐ移籍に加えて、昨年の赤ちゃんザルの誕生がB群99頭に対し、C群はわずか32頭だったことなどが要因となった。

 ■ルール崩壊

 午前中にC群、午後にB群が寄せ場に集まる“高崎山ルール”も崩壊した。昨年12月下旬頃からはB群が午前中、山から下りてきて、C群が姿を見せない日が増えている。たまにC群が寄せ場に近づくと、移籍した元幹部に追い返され、山へ戻る光景も目撃されている。

 藤田さんは「C群が来なくなると、寄せ場のサルの数が減って観光に悪影響が出る。C群が餌を求めて散らばれば、周辺の農作物被害の増加も懸念される」と心配する。英王女にちなんで命名された人気のシャーロットについて、「きょうはいないの?」と残念がる声も来園者から多く聞かれるという。

 京都大霊長類研究所の半谷はんや吾郎准教授(霊長類学)によると、群れでの近親交配を避けるため、雄が群れを離れるのは自然の流れだが、幹部クラスが一気に抜けた理由はよく分からないという。「高崎山は市街地に近いため、自然界の餌も少ない。このままではC群が消滅したり、近隣の山に移住したりする可能性も否定できない」としている。(江上純)

2017年02月03日 07時33分    Copyright © The Yomiuri Shimbun