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超巨大恐竜、なぜ急成長 秘密は骨に…

科学 動物

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 長い首と尾を持つ「竜脚類」と呼ぶ恐竜の仲間は地球に現れた最大の陸上動物といわれる。多くの種類が体長20メートル、体重10トンを超した。中には約40メートル、80トンに成長したと推定される化石も見つかっている。なぜ、ここまで巨大になったのか。成長が早い特殊な骨のでき方など、複数の特徴を併せ持ったからだとわかってきた。

 恐竜といえば、最強といわれるティラノサウルスや頭に3本の角を持つサイのようなトリケラトプス、背中に骨の板を多数持つステゴサウルスを思い浮かべる人が多いだろう。いずれも体長は10メートル前後になり、ゾウやキリンよりもはるかに大きい。こうした恐竜の中で特に巨大だったのが竜脚類だ。体長はバス4台分ほどにもなった。

 岡山理科大学の石垣忍教授らは8月、モンゴルで竜脚類の足跡の化石を見つけた。長さは106センチメートルで、爪の跡まで残っていた。全長は25~30メートルだったと考えられる。石垣教授は「次は他の足跡の化石を見つけたい」と意気込む。

 竜脚類兵庫県で発掘された丹波竜などのティタノサウルスや米国の実業家アンドリュー・カーネギーの資金によって発掘されたディプロドクスなどが代表格だ。約2億1000万年前に現れ、三畳紀ジュラ紀白亜紀の恐竜時代を通じて繁栄した。

 巨大な竜脚類も生まれたときはとても小さい。これまでに見つかった卵の化石は最大で長さ30センチメートルとダチョウの卵の3倍ほど。ふ化した直後は体長50センチメートルで体重も10キログラム未満だった。その後は急成長し、ピークのころは1日に10キログラム以上増えた。死ぬまで成長し続けたとみられる。

 急激な成長を可能にしたのは骨のでき方だ。化石を薄く切って顕微鏡で調べると、結晶の方向がばらばらな骨の層があり、その間に結晶の向きがそろった密な骨の層が見える。大阪市立自然史博物館の林昭次学芸員は「空洞の開いたすかすかな骨で大まかな枠組みを素早く作り、その後に隙間を緻密な骨が埋めて丈夫な骨になった」と説明する。ミルフィーユに例えると、まずパイ生地で骨の枠組みができ、その間をクリームの骨が埋めていった。

 恐竜の骨の化石を調べると、エサの少ない冬は成長が鈍るため、普通は木の年輪のような輪ができる。しかし、竜脚類には見当たらない。林学芸員は「一年を通じて成長が止まらず、年輪ができにくかったのだろう」と推測する。

 呼吸にも特徴がある。竜脚類の肺には、ポンプの役目を果たす「気のう」と呼ぶ袋がついていた。動物が生きるには酸素が欠かせず、巨大になるほど大量に必要だ。哺乳類や爬虫(はちゅう)類は息を吸って肺に空気を送り、血液に酸素を取り込んで吐く。吸うときと吐くときで空気の通り道が同じで、吸った空気と吐く空気が混ざる。

 これに対し、竜脚類は息を吸うときには気のうに空気をため込みながら、肺にも空気を送る。吐くときには、2つの気のうをしぼませて、蓄えた空気を肺に送る。息を吸うときも吐くときも肺には新鮮な空気が送られるため、酸素を効率的に体内に取り込めるわけだ。

 この仕組みは現在の鳥類に受け継がれている。渡り鳥が長距離を飛び続けられるのは気のうの働きによって酸素を取り込む能力が高いためだ。

 独特のエサの食べ方も巨大化につながったと考えられている。竜脚類はシダやソテツなどの葉や枝を丸のみして食べていた。恐竜時代は火山活動が活発で大気に含まれる二酸化炭素(CO2)濃度が高く、植物は急速に成長した。しかし、栄養価は高くなく、大量に食べる必要がある。

 丸のみすることで、口に入れた枝や葉をすりつぶす筋肉が要らず、頭が小さくて済んだ。その結果、長い首を持つことができた。福井県立恐竜博物館の関谷透研究員は「長い首だけを動かし、エネルギー消費を抑えながら食事ができた」と解説する。

 巨大化したことで、大人の竜脚類は肉食恐竜でも簡単には襲われなかった。しかし、白亜紀後半には衰退していった。気温が下がってシダやソテツといった裸子植物に代わり、消化しにくい被子植物が爆発的に増えていったからだ。歯ですりつぶさないと食べられないため、トリケラトプスのように巨大なあごを持つ植物食恐竜が栄えた。

 竜脚類はかつて、巨大な体を支えるために水の中で暮らしたと考えられた。しかし、化石から得られる情報が増えるにつれて変わっていった。今後の研究でどんな姿が見えてくるのか楽しみだ。(草塩拓郎)

2017/1/8 2:30    日本経済新聞 電子版