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世界に4体、ニホンオオカミの剥製1体を展示へ

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和歌山大が所有するニホンオオカミの剥製=和歌山県立自然博物館提供

 和歌山県立自然博物館(海南市船尾)で来年1月4日から、絶滅したとされる「ニホンオオカミ」の剥製が特別展示される。

 所有するのは和歌山大で、世界に4体しか残っていないうちの1体。同大学の宮本典子ふみこ名誉教授(81)は、この剥製との出会いを機に、2001年の退官まで約30年にわたり、門外漢だったニホンオオカミの研究に打ち込むことになった。

 ニホンオオカミは1905年、現在の奈良県東吉野村で捕獲されたのを最後に姿が確認されていない。開発に伴う生活圏の減少や伝染病の流行、駆除などで姿を消したとされ、環境省レッドリストでも「絶滅種」とされている。

 同大学の剥製は04年頃、奈良県和歌山県にまたがる大台山系で捕獲された個体という。それ以外の剥製は国内に2体、オランダに1体あるだけで、毛皮も英国とドイツに2体分だけが残る。

 酵母の研究が専門だった宮本教授は71年、たまたま引き継いだ研究室に剥製が置いてあるのを見つけた。それがニホンオオカミの貴重なものだとわかり、「ほったらかすわけにはいかない」と研究を始めた。興味はなかったが、責任感が背中を押したという。

 生きた個体がないだけに研究は難渋を極め、「失ったものの大きさを改めて感じるばかりだった」と宮本教授。それでも、オランダや英国にまで足を運び、標本の観察を根気よく続けた。中でも頭骨の形状を多く、詳細に比較し、他のオオカミや、犬との違いなどを3本の論文に発表した。

 退官して研究は離れたが、イノシシやシカが人や農作物に被害を与えたと聞いては、人間の無意味な殺生にたおれたニホンオオカミを惜しむ。そして生態系を守ることの大切さを痛感するといい、「子供たちには剥製を見てもらい、かけがえのない自然の大切さを知ってほしい」と話している。

 宮本教授の意向もあって、同大学では2001年から設備が整った県立自然博物館に剥製の収蔵を委託し、同館は09年から毎年1月に特別展示を続けている。1月31日までで、問い合わせなどは同館(073・483・1777)。(古市豪)

2016年12月26日 07時59分    Copyright © The Yomiuri Shimbun