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読解力低下、科学・数学順位は過去最高に 国際学力調査

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日本の成績の変化

 72の国・地域の15歳が参加し、「読解力」「科学的リテラシー(活用する力)」「数学的リテラシー」の3分野を調べた2015年の国際的な学習到達度調査(PISA〈ピザ〉)で、日本の「読解力」の平均点が前回より低下したことがわかった。一方、「科学」「数学」の2分野の平均点の順位は、現在の調査方法になって以降、いずれも過去最高だった。

 経済協力開発機構OECD)が6日、発表した。

 調査結果によると、文章や資料などから情報を読み取り、論理立てて自分の考えを記述する「読解力」は前回より22点低い516点で、4位から8位になった。520点で8位だった前々回(09年)並みで、OECDは、統計上、偶然とは言えない有意な低下だと分析する。とりわけ、難易度の高い問題に正答した生徒の割合が前回より7・7ポイント減った。

 文部科学省は要因について、問題表示や解答が紙での筆記からコンピューターの使用に変わったことを挙げ、「複数の画面を見て答える問題などで、子どもたちに戸惑いがあった」としつつ、「情報を読み解き、言葉にする力で課題が浮かんだ。スマートフォンでインターネットを利用する時間が増える一方、筋だった長い文章を読む機会が減っている」(同省教育課程課)と分析する。

 OECD教育・スキル局のアンドレアス・シュライヒャー局長は、コンピューターへの移行について「情報化社会でのものの読み方の進化を反映させた」と説明。「様々な情報を対比させ、批判的な目で見て、見極める能力が必要になっている」と指摘した。

 一方、「科学」の平均点は538点で、06年以降で最高だった前回より9点低いが、順位は4位から2位に上がった。「数学」も03年以降で最高だった前回より4点低い532点だが、7位から5位に上がった。

 科学、数学、読解力の1位はいずれもシンガポール。各分野の5位以上には香港、台湾、フィンランド、カナダなどが入った。

 また、科学についてのアンケートで「学んでいる時はたいてい楽しい」と答えた日本の生徒は49・9%で、OECD加盟国の平均62・8%を大きく下回った。「知識を得ることは楽しい」もOECD平均を下回る54・7%で、06年よりも3・2ポイント低く、学びの楽しさを十分に感じていないことが浮き彫りになった。

 文科省は、03年調査で日本の順位が急落した「PISAショック」を受け、学習指導要領の改訂で学ぶ内容を増やすなど「脱ゆとり」の政策を進めてきた。今回の結果を受け、読解力向上への「指導改善ポイント」を作るほか、国語の授業で情報通信技術(ICT)を活用している北欧の事例研究などを進める。(水沢健一)

     ◇

 〈PISA〉(Programme for International Student Assessment) 義務教育修了段階にあたる15歳を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野を調べる。00年から3年ごとにあり、調査方法は読解力は当初から変わらず、数学は03年、科学は06年から現在と同じ。今回は約54万人が参加。各生徒が正答した問題の難易度などから得点を推計し、国別平均点を出す。日本では、国公私立の割合などを考慮して無作為抽出された198校、約6600人の高校1年(一部16歳を含む)が受けた。同じ問題を繰り返し使うため、原則として問題は公表しない。

OECDの学習到達度調査(PISA)の国際順位(2015年)

◆数学的リテラシー

シンガポール

②香港

③マカオ

④台湾

⑤日本

⑥北京・上海・江蘇・広東

⑦韓国

⑧スイス

エストニア

⑩カナダ

◆読解力

シンガポール

②香港

③カナダ

フィンランド

アイルランド

エストニア

⑦韓国

⑧日本

ノルウェー

ニュージーランド

◆科学的リテラシー

シンガポール

②日本

エストニア

④台湾

フィンランド

⑥マカオ

⑦カナダ

ベトナム

⑨香港

⑩北京・上海・江蘇・広東

※はコンピューター使用型調査ではなく簿記型調査

2016年12月7日07時40分    朝日新聞デジタル