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箱根・仙石原、シカの食害深刻…生息域調査

社会 自然・環境 動物

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シカの食害が深刻な森林。アオキの低い葉がほとんど食べられている(10月、神奈川県箱根町で)

 神奈川県箱根町仙石原地区でニホンジカによる食害を調査しているNPO小田原山盛の会(小田原市)は、シカの生息域が仙石原地区全域に広がっているとする調査結果をまとめた。

 会は「爆発的な増加を食い止めるのは今しかない」と警鐘を鳴らし、捕獲や進入防止フェンスの設置を訴えている。

 調査を指導している古林賢恒・元東京農工大助教授によると、シカは口の届く低い葉を全て食べ尽くし、同地区周辺では木の上だけ葉が残る「ディアライン(鹿の線)」が現れているほか、シカが角を研ぐ際に樹皮を削った跡も見られるという。湿原には希少な植物もあり、古林さんは「いつシカが入ってきてもおかしくない」と危惧する。

 宅地開発などで平地から山林に追いやられたシカは、足りない餌を補うために栄養価の低いアオキなどの植物を食べ始める。アオキも食べ尽くすと、さらに栄養が少ないスギやヒノキの枝葉や樹皮までも食べるようになり、森林が一気に破壊されるという。

 丹沢地域は、1960年代に急速に人工林が拡大し、間伐で餌となる下草が増えたためシカが大繁殖して森が荒廃した歴史を持つ。仙石原地区でシカの目撃情報が寄せられ始めたのは2006~08年頃。生息数は明らかになっていないが、古林さんは「このままでは丹沢の二の舞いになる」とし、「アオキが残る程度にシカの頭数を管理すべきだ」と提言。シカの捕獲以外にも、希少植物をフェンスで囲ったり、樹木に竹を巻いて保護したりすることを提案している。

 町は年間30頭を駆除することを目標にしており、昨年度は18頭、今年度も9月までに12頭を捕獲した。環境省も、多様な植物が生育する箱根湿生花園を含む地域を高さ約1・8メートルの柵で囲う案を検討しているという。ただ、景観への配慮や柵の管理方法といった課題も残されている。

(丹下信之)

2016年11月14日 08時45分    Copyright © The Yomiuri Shimbun