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警視庁、令状なしでGPS捜査 窃盗事件で車両に設置

 バスやトラックを盗んだとして2人が窃盗罪で起訴された事件の捜査で、警視庁が裁判所の令状をとらずにGPS(全地球測位システム)端末を車に取り付け、動きを確認していたことが関係者への取材でわかった。弁護側は27日に東京地裁立川支部である公判で、GPSを使って得られた2人の位置情報に関する証拠を排除するよう求める。
 令状なしのGPS捜査をめぐっては、プライバシーを侵害しないかが各地の裁判所で争われ、「違法」「違法ではない」などと判断が分かれている。最高裁大法廷が審理し、統一見解を示す見通し。

 被告はともに神奈川県に住む無職の男(42)と建築業の男(44)。2014年11~12月、静岡、山梨両県内でトラックやバスを盗んだなどとして起訴された。

 ログイン前の続き関係者によると、警視庁の捜査員は民間の位置情報サービス会社と契約し、GPS端末12台を借りた。このうち7台を14年7月~15年1月に使用。頻繁に使われた5台はそれぞれ計45~92日間、車に付けられた状態だった。男に見つかったケースもあったという。

 捜査員はスマートフォンなどを操作し、対象車のおおよその位置を把握していた。大阪地裁が令状のないGPS捜査を「違法」と判断した15年6月には、12台のうち8台が解約された。

 逮捕前に男が見つけていた端末を、起訴後に弁護人が弁護士会を通じて照会した結果、警視庁の捜査員が契約していたことが判明。弁護側が公判で指摘するまで、検察側は捜査にGPSを使ったことを明らかにしていなかった。捜査員は取り調べの際に「GPSは使っていない」と虚偽の説明をしており、公判で証言を求められた捜査員は「(組織として)保秘がうたわれていたため」などと述べた。

 弁護側は、被告の2人が事件現場まで行ったことや被害車両に乗ったことなどを示す捜査報告書について、証拠からの排除を求めている。建築業の男の弁護人を務める渡邉祐太弁護士は、「プライバシーを侵害するような手法で収集された証拠に証拠能力はない。後ろめたいことがないのであれば、捜査の全体像をまず明らかにしてほしい」と話す。

 警察庁は、GPS捜査を裁判所の令状が要らない任意捜査と位置づけている。2006年には運用要領を各都道府県警に通達。対象は窃盗など7種の犯罪で、速やかな検挙が求められ、他の捜査では追跡が難しい場合に限っている。

 だが、GPS捜査の適法性をめぐって各地で争われた裁判では、大阪高裁が「重大な違法なし」、名古屋高裁が「違法」、広島高裁は「適法」と異なる判断をしている。最高裁はこのうち大阪高裁で審理された事件について、裁判官15人全員による大法廷で審理することを決定している。(藤原学思)

2016年10月23日06時52分    朝日新聞デジタル