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中国「宇宙強国」への野望 独自ステーションに現実味

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打ち上げ前日の16日、「神舟11号」に向かって歩く関係者=酒泉衛星発射センター、益満雄一郎撮影

 中国の有人宇宙船「神舟11号」が17日朝、中国北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。中国最長となる33日間の宇宙飛行を計画している。独自の宇宙ステーション運用が現実味を帯びるが、日米には「宇宙強国」を目指す中国の意図に警戒心も根強い。その打ち上げの現場に入った。
 甘粛省内モンゴル自治区にまたがる砂漠地帯に、衛星発射センターはあった。敷地面積は、神奈川県よりひとまわり大きい約2800平方キロ。敷地に入ってからさらに1時間、信号もないゴビ砂漠を切り裂いた一直線の道を、ひたすら小型バスで走った。

 軍事施設である同センターは、これまで外国メディアの取材を制限してきた。だが今回は朝日新聞のほか、英BBCや韓国KBS、ロシア・タス通信などの取材を受け入れた。「むやみに写真を撮ってはいけない」。バスの中で当局者に釘を刺され、受付にたどり着くと、軍人が出入りを厳しくチェックしていた。

 受付を抜けてさらに走ると、「中国の夢 宇宙の夢」というスローガンと習近平(シーチンピン)国家主席肖像画が描かれた大きな看板が立っていた。中国が最重視する国家プロジェクトであることが伝わってくる。

 中国にとって、有人宇宙船の打ち上げは今回で6度目で、2日以内に宇宙実験室「天宮2号」とドッキング。宇宙飛行士2人が天宮2号に乗り移り、30日間滞在して、実験に取り組む。

 宇宙飛行士はいずれも空軍パイロット出身の景海鵬さんと陳冬さん。2人はドッキングや分離、地球への帰還などの技術の検証のほか、宇宙に長く滞在する飛行士の人体への影響を小さくする研究などを進める。

 「中国の宇宙ステーションは、宇宙にある中国人の故郷だ」。神舟11号に乗り組む前、宇宙飛行士の景海鵬さんは強い期待を示した。技術幹部の周建平さんは「宇宙ステーションの基本的な技術はすでに整った」。2018年前後にまず基本棟をつくり、実験棟をドッキングさせ、22年に独自の宇宙ステーションを完成させる構想を示した。

 中国は、宇宙開発を国威発揚に利用している側面もある。ただ習氏は発射後、「宇宙強国建設のため新たな貢献をするよう希望する」と述べ、さらなる技術革新を指示した。急ピッチで宇宙開発を進め、宇宙で「2強」の米ロの背中が見えてきたとの自信もある。

 単独で宇宙ステーションを運用できる高度な技術力を身につけ、こうした先端技術を自国の安全保障でも利用しようとの狙いもある。世界は軍事面だけでなく、経済活動でもGPS(全地球測位システム)など宇宙空間を利用した技術が欠かせなくなっており、将来の国益の要とするため、宇宙空間の支配力を強めるとの野望がある。

 衛星発射センターは軍事施設でもあり、これまで外国メディアの取材を制限してきた。だが、センターの関係者は「我々も『宇宙強国』の一角として、米国などのように開放できるところは開放していく」と自信をみせた。(酒泉衛星発射センター=益満雄一郎)

2016年10月18日08時42分    朝日新聞デジタル