今日のニュース

気になったニュース

「地響きが」「火柱見えた」 阿蘇山噴火

f:id:obaco:20161008132352j:image

火山灰が降り積もった自動車(8日午前、熊本県阿蘇市

 熊本県阿蘇山が8日未明、突如火を噴いた。同県阿蘇市などでは火山灰が大粒の雨のように降り注ぎ、道路や住宅の屋根は一面灰色に。周囲には硫黄の臭いが漂った。熊本地震から半年を前に再び襲った自然の猛威。住民らは「なぜこんなことに」とぼうぜんとした表情を浮かべ、自治体や消防も情報収集や避難所の開設に追われた。

 阿蘇市JR九州豊肥線宮地駅周辺は8日朝、明け方に降った雨を吸い込んだ火山灰が積もり、泥の街のような風景になっていた。歩くと靴の裏に泥がこびりつき、強い硫黄の臭いが鼻を突く。

 同市に住む兼業農家の荒家重信さん(75)は「まさかこんなことになるとは」と驚いた表情。朝6時ごろのテレビニュースで噴火を知り、家を出ると車や庭に灰がべったりと積もっていた。車を洗いながら「やらなければいけないことがたくさんある」とうんざりした様子だった。

 公務員の40代女性は「これからどうなるのか」と不安を隠せない。午前2時ごろに防災無線で噴火を知り、様子をみるために家の外に出ると、硫黄の臭いがたちこめ、ポツポツと小さな石が車や屋根に当たる音がした。真っ暗で様子も分からず、すぐに家の中に戻った。「何かあったらすぐ避難できるように準備したい」と話し、リュックサックに荷物を詰めて車に積み込んでいた。

 阿蘇市では噴火を受けて全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動、職員全約300人が急きょ登庁した。午前3時に公民館など避難所12カ所を開き、数人が身を寄せた。市役所に自主的に避難してきた人もいるという。朝までにけが人は確認されていないが、宿泊施設で窓ガラスが割れる被害が1件出た。

f:id:obaco:20161008132520j:image
阿蘇山中岳の噴火で火山灰に覆われた、熊本地震で楼門(下)などが倒壊した阿蘇神社(8日午前)=共同
 総務課の男性職員によると、庁舎周辺では午前2時ごろ、直径1~2センチの噴石がパラパラと音を立てて降り注いだ。市街地と阿蘇山上を結ぶ県道は9月、熊本地震による通行止めが解除されたばかり。この職員は「日中は観光客もいる。夜間だったのは幸いだった」と胸をなで下ろした。

 阿蘇山周辺を管轄する阿蘇広域行政事務組合消防本部は、通常の倍の20人態勢で調査などに当たった。当直職員は「午前1時45分ごろ窓ガラスが揺れて地響きがした。地震のような揺れを感じた」と振り返った。周辺では硫黄のような臭いがしているほか、街中で地面や家屋、車などにうっすらと灰が積もっているという。

 阿蘇山の北東約20キロの産山村でも爆音が聞こえたといい、村の当直職員は「雷が鳴ったと思った」。直後に阿蘇市に住む家族から「阿蘇山で火柱が見える」と電話を受け、噴火だと気づいた。村内で被害の報告は入っていないという。

 約30キロ離れた大分県竹田市の久住支所周辺でも火山灰が降った。早朝に駆け付けた男性職員は、道路を車で走ると粉じんが舞ったといい「いつもの噴火とは違い、焦げ臭いような臭いがした。異様さを感じた」と振り返った。

 熊本県危機管理防災課では職員十数人が情報収集に当たった。担当者は「地元では熊本地震で疲弊している方もいる。火山活動の推移を見守りながら、生活に困る人が出ないよう適切に対応したい」と強調した。

 2016/10/8 12:30    日経新聞