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「グシャッとされた」 小池流の行方 (ルポ迫真)

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国際ボート連盟のロラン会長(左)との会談を終えた小池都知事(3日、都庁)

 9月29日午後に開かれた東京五輪パラリンピック組織委員会の理事会では反発の声が相次いだ。「積み上げたものをいきなりグシャッとされた」

 同日午前、都知事の小池百合子(64)が任命した調査チームが、都が担当する3つの競技施設について建設中止を含めて計画を見直すよう提案したためだ。大会関係者は「ある程度の計画変更は予想していたが、建設中止まで踏み込むとは想定外だった」と振り返る。

 同日朝、文部科学省での五輪調整会議。小池と会った組織委会長の森喜朗(79)は「国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で決まったものをひっくり返すことは極めて難しい」とくぎを刺した。しかし、都庁に戻った小池は調査チームから報告を受け「爆弾を頂戴した。これを起爆剤にして総合的に判断したい」と評価した。

 「負の遺産を都民に押しつけるわけにはいかない」。小池にとって五輪経費の見直しは知事選の最大公約の一つで、簡単には引き下がれない。3施設のうち、建設費が招致段階の69億円から491億円まで大幅に膨らんだボートとカヌー・スプリント会場の「海の森水上競技場」については、建設中止を決断するとの観測が広がっている。

 調査チームは長沼ボート場(宮城県登米市)での代替開催も提案した。東日本大震災の被災地での開催は「復興五輪の原点に戻る」という大義名分が立ち、地元の宮城県知事の村井嘉浩(56)も「都が計画する競技場よりもはるかに安く整備できる」と歓迎している。

 「都の権限」を武器に施設計画の見直しを検討する小池に対し、組織委は事態の推移を見守るしかない状況だ。ただ、都がIOCから計画変更の了承を得るには国際競技団体との合意が欠かせない。

 9月30日、組織委事務総長の武藤敏郎(73)らと緊急のテレビ会談をしたIOC副会長のジョン・コーツ(66)は「これまで一緒にうまくやってきたのに、なぜこのような話が出てくるのか」と宮城代替案に不快感を示した。国際ボート連盟会長のジャンクリストフ・ロラン(48)も3日、都庁で小池と会談し「事前に相談も情報提供もなく、落胆を隠せない」と現行計画通りの開催を求めた。

 大会関係者は「競技団体に『コストが高いから移ってくれ』では相手にしてもらえないのでは」と指摘するが、小池は月内にも決断を下す。(敬称略)

2016/10/7 3:30    日経新聞