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軍隊式?努力の差? 中国、金90個超えの理由 パラ

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 開幕式に姿を見せた中国の選手団。開催国ブラジルの選手団(288人)を超える309人の大選手団で、金メダルの数はすでに90個を超えた
 リオデジャネイロパラリンピックも終盤。獲得メダル数をみると、開催国・ブラジルを差しおいて、中国が圧倒的な存在感を放っています。現地時間16日夜(日本時間17日朝)の段階で、金メダルは94個(金銀銅の合計では217個)に達し、2位のイギリスの58個(同126個)に大きく差を付けています。強さの秘密は何なのでしょうか。競技場を歩いて、そのわけを探ってみました。

 15日、陸上競技スタジアムであった表彰式では、高らかに耳慣れた国歌が響き渡りました。女子400メートル(車いす)リレーの中国チームがうれしそうに金メダルを掲げています。その約20分後。また、中国国歌が流れました。今後は、男子走り幅跳びで2人の中国人選手が1位と2位の表彰台に立っています。この日、中国は陸上競技だけで四つの金メダルを獲得しました。

 中国の躍進に対して、日本の金メダル数は16日現在でゼロ。その差はどこにあるのでしょうか。

 「まじめに努力しているからです」。女子砲丸投げ(脳性まひ)で優勝した王君選手からはこんな答えが返ってきました。男子100メートル(脳性まひ)に続き、走り幅跳びでも優勝した胡鑑文選手は「努力の結果です。祖国を誇りに思います」。うーん、これでは具体的なことが分かりません。取材エリアにいた中国中央テレビのクルーが解説してくれました。

 「軍隊式の管理をしているんです」。教えてくれた女性記者は以前、練習拠点を取材。休憩時間は少なく、休日でもほとんど家に帰らない選手もいるといいます。「外国の選手に比べたら本当に努力しています。意志の力が強く、だから優秀なんです」。食事も厳しく管理し、栄養価の高いものしか提供されないようです。

 一緒にいた男性カメラマンは「挙国体制」が強さの理由だと指摘します。「日本は選手個人で練習していると思いますが、中国ではレベルの高い選手をよりすぐってトレーニングしている」。少しずつ強さの秘密が見えてきた気がします。

 全競技の映像を撮影し、各国に配信する「オリンピック映像サービス(OBS)」の中国人カメラマンは、「あまり詳しくはないけれど」と前置きしたうえで、「中国は人口が多く、そして政府がスポーツの強化に力を入れているからです」といいます。実際に中国選手団は最多の309人。金メダルは水泳が35個、陸上競技が23個と存在感を示しています。地元ブラジルの報道では、中国側が選手を国際大会などには参加させないで「隠し持ち」、パラリンピックに突如現れて金メダルをとっていく、という内容のものまで出ています。

 ログイン前の続き競技人口の多さを武器に、着実に力を付けてきた競技団体があります。車いすに座って戦う、車いすフェンシングです。2004年のアテネ大会では金メダルはわずか1個でしたが、自国開催の08年北京大会で6個に。リオ大会では9個の金メダルを獲得しました。

 車いすフェンシング会場の喫煙スペースに、五星紅旗のワッペンを付けた男性がいたので声をかけてみました。すると、中国チームの凡虹監督でした。

 話を聞くと、中国10省に車いすフェンシングのチームがあり国内の競技人口は約200人。一方、日本でパラリンピックをめざしている選手は10人ほどで、リオ大会へは1人も選手を派遣できませんでした。

 どこから選手は集まってくるのでしょうか。凡監督は「地方出身の選手が多い。都会は障害がある人の割合が少ないけれど、地方は医療環境が悪く、おそらくそのあたりも影響している」といいます。

 中国政府の全面的な支援も強化につながっているようです。08年の北京大会開催が決まると、健常者のナショナルチームのコーチもトレーニングに加わりました。また、練習施設が用意され、選手の食事や住まい、フェンシングの道具などの費用は政府がサポートしているようです。

 2020年には東京で世界の強豪を待ち受ける日本。どうしたら競技レベルがあがるのでしょうか。凡監督は「日本だけでなく、海外も含めてハイレベルなコーチを招き、海外の大会にどんどん出場して経験を積んでいくことが大事です」とアドバイスしてくれました。まもなく、リオ大会は終わり、東京開催に向けたカウントダウンが始まります。(向井宏樹)

2016年9月17日12時36分    朝日新聞デジタル