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視覚障害者が白杖で音を立てる理由 歩きスマホと関係も

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2014年9月の朝日新聞朝刊(大阪本社版)「声」欄に載った投書「白杖で音を出す理由 知って」

 2年前に新聞の投書欄に寄せられた一通の投書が、いまネット上で話題になっている。点字ブロック白杖(はくじょう)でたたきながら歩いていた視覚障害の女性が、年配の男性から「うるさい」と怒鳴りつけられた様子を書いたものだ。点字ブロックをたたいて音を出すのには、どんな理由があるのか? 実は、最近増えている歩きスマホも関係している。

 話題になっているのは、2014年9月21日の朝日新聞朝刊(大阪本社版)「声」欄に載った投書。「白杖で音を出す理由 知って」と題したもので、埼玉県川越市に住む介護福祉士の校條(めんじょう)清さん(56)から寄せられた。

 JRの駅のコンコースで、年配の男性が「うるさいよ!」と40代くらいの女性を怒鳴りつけた。白杖点字ブロックをたたきながら歩いていた女性は、体を震わせながら「すみません」と謝り、杖で点字ブロックをなでるようにして歩き出した。そんな話だ。

 女性が音を立てていた理由について、校條さんはこう記している。

 「障害者リハビリ施設に勤める妻によれば『視覚に障害を持つ人は周りに自分の存在を知ってもらうため、白杖点字ブロックをたたいて音を出している』とのこと。スマホの画面に夢中の人も気づく可能性が高くなるが、杖でたたいて歩く理由を知っている人はどれくらいいるだろう」

 今年7月中旬、この投書を写した画像がツイッターにアップされると、「健常者の方の理解が広がることを願っています」「怒鳴った方も知ってたら大声を出さなくても済んだかもしれない」といった声が次々にあがった。このツイッター投稿のリツイートは1万8千を超えている。

 2年たった今話題になっていることについて、校條さんは「すごくうれしいのとともに驚いています。話題になるということは、2年たってもそれほど浸透していないということですから」と話す。

 社会福祉法人日本盲人会連合」のホームページによると、白杖を携帯する目的は「安全性の確保」「情報の入手」「視覚障害者としてのシンボル」の3点とある。白杖を使って音を出すことについて、自身も全盲藤井貢・組織部長(63)は「訓練で学ぶ主要な使い方ではありませんが、人混みの中など周りに気づかれにくい状況では、多くの人がそのように使っています」と説明する。

 音を出すことには、自分の存在を知らせるためだけでなく、その反響音で周囲の状況を確認する目的もある。また、最近では歩きスマホなどで前を十分に確認せずに歩いている人が増えているため、あえて白杖を使って音を出すケースが増えているという。

 「音をたてるなと言われると、歩いている視覚障害者はとても恐怖を感じます。必要があってやっていることなので、理解していただきたいと思います」。藤井さんはそう話している。(若松真平)

2016年8月25日18時24 朝日新聞デジタル