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商品相場のせい? リオ五輪の「重い」金メダル

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記念写真に納まる大野将平選手の金メダル

 「めちゃめちゃ重たい」。現在開催中のリオデジャネイロ五輪で、体操男子団体と個人総合で金メダルに輝いた内村航平選手はこうコメントした。自らの努力や周囲の献身的な支援から来る重みだけではない。物理的にもリオ五輪の金メダルは重いのだ。直径8.5センチメートル、重さ500グラムと近代夏季オリンピックでは最大・最重量サイズとなった。それでもここ1~2年の商品価格の下落により、2012年のロンドン五輪に比べるとずっと割安な価格で作られている。

 金メダルは実は純金製ではなく、銀を主な原料にしている。金のオンライン取引大手、英国のブリオンボールトによるとリオ五輪の金メダルの構成比率は銀が91.4%、銅が7.4%で金はわずか1.2%で6グラム程度しかない。前日18日の終値水準から価値を算出すると1個あたり約555ドル(1ドル=100円換算で5万5500円)になる。日本時間の19日13時時点で日本が獲得した金メダルは12個だから、総額で6660ドル(66万6000円)の計算だ。

 翻って12年のロンドン五輪当時はどうだったか。米国の追加緩和期待から基軸通貨のドルは売られ、基軸通貨の「代替資産」として金の投資需要が盛り上がっていた。金先物相場は1トロイオンス(=約31グラム)1600ドル台まで上げ幅を広げた。ロンドン五輪の金メダルはリオ五輪と構成比率はほぼ同じだが、重さは100グラムほど軽かった。にもかかわらず金や銀の相場が高かったため、当時の価格は約651ドルとリオ五輪よりも100ドル程度高い。

 足元のニューヨーク金先物は1トロイオンス1350ドル台で小動きとなっている。早期の米利上げ観測は後退したものの、年内の追加利上げの可能性が消えたわけではない。ドル高警戒から金を積極的に買い進める投資家は限られている。商品市場では「ドルが対円や対ユーロなどで下落しても金先物は上値が重くなりやすい。当面は1340~60ドル台の狭いレンジで推移しそうだ」(フジトミの斎藤和彦チーフアナリスト)との予想が出ている。銀相場は金に連動する傾向が強い。金メダルの価値が急に上がることはないだろう。

  過去の夏季五輪で、金メダルの累計獲得数が最も多いのは米国で977個。米国ではメダルに対する課税制度があり、金メダルをオークションにかけるケースがみられるという。

 米政府の課税はリオ五輪の金や銀メダルも対象となる。金銀相場の落ち着きは金メダリストに別の意味で安心をもたらす――。そんな視点で五輪を楽しむのもよいかもしれない。〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕

2016/8/19 13:55日本経済新聞 電子版