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ポケモンGO、日本の政府機関が異例の注意喚起

経済 情報・ネット

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内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が作成したチラシ

 スマートフォン向けのゲーム「Poke(eはアクセント付き)mon GO」(ポケモン ゴー)をめぐり、政府機関の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が、「危険な場所には立ち入らない」といった注意を呼びかけている。個別のゲームへの指摘は極めて異例だが、NISCは「注目度が高いため安全に遊ぶ方法を早めに伝えたかった」としている。

 21日夜の時点で日本でのサービスは始まっていない。先行している欧米では大ヒットしていることもあり、早く遊びたいという声は高まっている。

 NISCは20日夜、プレーヤーのことを示す「ポケモントレーナー」に向けたお願いというチラシの画像を、ツイッターなどを通じて投稿した。「個人情報を守ろう」「会おうという人を警戒しよう」など、九つの注意点をイラスト入りで示した。反響は大きくツイッターでは2万5千回以上リツイートされた。

 ログイン前の続きポケモンゴーはアプリを無料でダウンロードして遊ぶが、「偽アプリに注意」という項目もある。ゲームを有利に進めるための不正アプリなどが登場する恐れもあるとして、正規のものを使うよう訴えている。

 実際、すでに偽アプリが出回っているという。セキュリティーソフト大手のトレンドマイクロは21日、すでに43種類の偽アプリを確認したと発表した。スマホをウイルスに感染させて遠隔操作できるようにする悪質なものもあったとして、ウェブサイトなどで注意を呼びかけている。

 NISCの担当者は「注意すべき内容は、ほかの位置情報を使うゲームでも同じ。スマホの使い方を見直して、安全に正しく遊んでほしい」と話している。

 チラシはNISCのホームページ(http://www.nisc.go.jp/index.html別ウインドウで開きます)で入手できる。(西村宏治)

2016年7月21日21時09分 朝日新聞デジタル

 

 

ポケモンGO」、政府が異例の事前注意

 任天堂などが手がけ、世界30か国以上で爆発的な人気を集めるスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」について、政府が事前に注意を呼びかける異例の事態となっている。

 日本では配信が始まっていないが、海外の利用者が熱中するあまり、事故やトラブルを起こす事例が相次いでいるためだ。

 菅官房長官は21日の記者会見で、日本でも近く配信されることに関して、「公共マナーや安全性に懸念を持つ方もいる。ゲームを楽しむ方々は安全にスマートフォンを使うことが必要だ」と指摘した。

 内閣サイバーセキュリティセンターは20日、「ポケモントレーナーのみんなへおねがい」とする子供も対象とした注意喚起をインターネット上に掲載した。危険な場所への立ち入りや歩きながらスマホ操作をしないこと、個人情報を守ることなどを呼びかけている。

2016年07月21日 19時17分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
 
 
 

天声人語

連載:天声人語

天声人語)上陸間近のポケモンゴー

 

 人気アニメの舞台になった地をファンが訪れるのを「聖地巡礼」というそうだ。軽音楽部の女子高校生を描いた「けいおん!」の場合は、滋賀県豊郷(とよさと)町にある旧校舎だ。見学だけでなく高校生による演奏会まで開いたというから、かなりの盛り上がりである▼商店街や神社など作品によって聖地は多様だ。「仮想」の世ログイン前の続き界であるアニメを、頭のなかで「現実」に重ねて楽しむのだろう。一方、スマホのゲームでは二つを融合する試みが始まった。「ポケモンゴー」である▼海外で人気を博し、近く日本でも遊べるようになるという。架空の生き物であるポケモンが世界中のあちこちに潜んでいるとの設定で、近づくとスマホが振動する。画面のなかで捕獲できる▼さながら昆虫を集める感じだろうか。現実のなかに仮想を息づかせる。現実に幅をもたせるという意味で「拡張現実」とも呼ばれる▼もっとも、現実には危険もある。米国では、ポケモン探しの画面に気を取られて交通事故にあった人もいる。日本の政府は早くも「歩きスマホは×」など注意喚起を始めた。ゲームの作り手も注意してほしい。危ない場所にポケモンを生息させないよう▼ゲームではなく人工知能(AI)の専門家からこんな懸念を聞いたことがある。「もし魅力的なAIに、人々が恋をし始めたらどうなるか」。夢中になること、ポケモンの比ではないかもしれない。ゲームでもAIでも「仮想」とどう付き合うべきか。避けては通れない時代になってきた。

2016年7月22日05時00分  朝日新聞

 

 

 

ポケモンGO」世界に与えた衝撃と波紋

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スマホ画面上に出現したポケモンを捕まえたり戦ったりする

 先行配信された欧米などで空前の人気を呼び、社会現象になっているスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」。間もなく日本での配信が始まると見られ、日本のゲームファンは今か今かと待ちわびている。任天堂の関連会社「ポケモン」と米ゲーム開発ベンチャー企業などの共同開発によって生み出されたスマホゲーム界の“モンスター”はこの先、任天堂やゲーム業界に何をもたらすのか。スマホメディア「AppBank」の元編集長でITライターの篠原修司氏が解説する。

アメリカでダウンロード数、売り上げ1位に

 ポケモンGOは、スマホのGPS(全地球測位システム)の位置情報と連動し、街角や公園などに行ってポケモンのキャラクターを捕まえたり、戦わせたりするゲームだ。位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」を開発した「Niantic(ナイアンテック)」と任天堂、それに同社の関連会社「ポケモン」が共同開発したポケモンシリーズのゲームの最新作で、7月6日にアメリカで先行配信された。

  すると、配信開始後わずか1日足らずでスマホアプリのダウンロードランキング、売上ランキングの両方で1位を獲得した。この記録は史上最短である。

  その人気ぶりを象徴するのが、ニューヨークのセントラル・パークの光景だ。ツイッターには、この公園がポケモンを探し回るユーザーでいっぱいになっている写真や動画が何度も投稿されている。フロリダ国際大学のキャンパスで大勢の学生たちがポケモンのキャラクター「ゼニガメ」を探して大行進しているシーンも、マスメディアなどで盛んに取り上げられている。

ポケモンで育った大人がターゲットに

 一体、何がそこまで人をきつけているのだろうか?

 一番の理由は「ポケモン」という強力なコンテンツだからだが、重要なのは、登場するポケモンのキャラクターが全て第1世代、つまり20年前の1996年、ゲームボーイ向けに発売されたソフトに登場するキャラクターに限られている点だ。

 これにより、今のユーザーである子供たちはもとより、当時ユーザーだった20代後半から30代前半までの大人たちまでもがターゲットユーザーになったのだ。

  子供の頃にはできなかった「現実世界でポケモンを捕まえる」こと。それが、大人になった今、ポケモンGOでできるようになったのだ。開発会社のこの狙いは、大当たりした。従来のゲームがスマホ内に限られた遊びだったのに対し、ポケモンGOは、現実の世界と仮想の映像を重ねる「拡張現実(AR)」で遊べるのも大きい。

  その結果が、インストール数に表れている。アメリカの調査会社「SimilarWeb」のデータによると、リリースから1週間余りでポケモンGOは、「クラッシュ・オブ・クラン」「Linkedin(リンクトイン)」「キャンディークラッシュ」といった名だたる人気アプリをインストール数で上回った。

  日々の利用者数に目を向ければ、TwitterやNetflix(ネットフリックス)をすでに上回っており、滞在時間を指標にすると、Facebook(フェイスブック)の22分8秒、Snapchat(スナップチャット)の18分7秒、Instagram(インスタグラム)の15分15秒を大幅に上回る、33分25秒を記録している。

  アメリカでの1日当たり400~500万ダウンロードという勢いは衰えを見せず、スマホアプリの世界ではもはや“敵なし”の状態となっている。

任天堂の株価2倍に

 もちろん、売り上げの方でも敵なしだ。

  ポケモンGOは、無料でダウンロードして遊ぶことができる。それでは、ポケモンGOの売り上げを支えているものは何だろうか?

  お金を払うとゲーム内で使うキャラクターなどが当たる「ガチャ課金」なのだろうか。そうではない。ポケモンGOにおいて、ポケモンのキャラクターは全てユーザーが捕まえる必要があり、ガチャで入手することはできない。

  ポケモンGOの場合は「アイテム課金」だ。ポケモンGOではまず、ゲーム内通貨である「ポケコイン」を購入し、そのポケコインを消費してゲーム内のアイテムを購入する仕組みとなっている。現在、アメリカなどで一番人気のある通貨は100ポケコイン(120円)であり、次に550ポケコイン(600円)、1200ポケコイン(1200円)と続く。

  ゲーム内アイテムの人気は売上データがないために分からないが、ゲーム内の地図上に点在している「ポケストップ」と呼ばれるアイテム入手ポイントにポケモンを引き寄せる「ルアーモジュール(100ポケコイン)」や、ポケモンの「たまご」を孵化ふかさせるために必要な「ふかそうち(150ポケコイン)」が人気だと推測される。

  なお、ポケモンを捕まえるために必要な「モンスターボール」も販売されているが、こちらはポケストップを訪れれば入手できるため、きちんと歩いて遊ぶユーザーは購入する必要がない。

  設計上は子供たちでも無理なく遊べるように作られているが、25歳から34歳までのユーザーが課金の約38%を占めている。

  スマホアプリの売上ランキングで1位を維持していることからそれは明白だが、驚きなのは、ARPDAU(1日のアクティブユーザー1人当たりの平均売上金額)でも0.25ドルと、平均(0.10ドル)を大幅に上回っていることだ。

  その売上金額は、米アップル社の基本ソフト「iOS」の分だけでも1日当たり160万ドル(約1.7億円)に上り、その数値は現在も増加中。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」などを含む全プラットフォームでは、公開からたったの4日で1404万ドル(約14億9457万円)に達したという。

  また、アメリカの調査会社「slice intelligence」によると、最新の動向として、1日当たりの課金額がモバイルゲーム市場の47%に及んでいるという。つまり、ポケモンGOは、全てのモバイルゲームを相手に課金額で勝利していると言える。

  これらの影響を受け、東京株式市場では、ポケモンGOの配信開始前には1万6000円前後で推移していた任天堂の株価が急騰し、19日の終値は開始前からほぼ倍増の3万1770円に達した。時価総額も約4兆5000億円に膨らみ、ソニーなどを抑えて東証の13位に躍進した。

熱中し過ぎで社会問題も

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プレー中の「歩きスマホ」で事故発生のケースも(写真はイメージ)

 ポケモンGOは景気の良い話とは裏腹に、各国で社会問題も引き起こしている。

  一番分かりやすいのが、「歩きスマホ」だ。ポケモンGOはスマホポケモンを探しながら歩くため、どうしても下方を向いて歩きがちだ。そのため、歩行者同士がぶつかったり、交通事故に遭うケースも報道されている。

  任天堂は7月下旬に、ポケモンが出現したことを振動でユーザーに知らせてくれる専用端末「ポケモンGO Plus」を発売する予定だ。これを使えばスマートフォンの画面を見続けなくてもポケモンGOが遊べるようになる。それでも、ユーザー全員が購入するわけではないため、歩きスマホはなくならないだろう。

  また、病院や美術館などの公共施設でゲームをプレーする迷惑行為も報道されている。アメリカでは、戦没者を慰霊する「アーリントン国立墓地」や、ナチス・ドイツの大量虐殺の記録を後世に伝える「ホロコースト記念博物館」などにもポケモンが出現し、施設関係者が厳粛な場所で遊ばないよう呼びかける事態となっている。Niantic社は今後、こうした問題に対応すると思われるが、現在は施設側から呼びかけているのが実情だ。

  これらの問題はすべて、ポケモンGOと同じ位置情報ゲームである「Ingress」が通った道でもある。このゲームは、前述したように、ポケモンGOの共同開発企業Nianticの作品だ。IngressもポケモンGOも現実世界を舞台にしている。そのため、ユーザーにとってはただゲームをプレーしているつもりでも、プレーしていない人にとってはただの迷惑行為でしかない。残念なことは、ゲームに熱中してしまうと、それを認識できなくなることだ。現実世界とゲームの境界があやふやになり、ゲームのために知らず知らず、現実世界のルールを犯してしまうのである。

  ポケモンGOは世界中に巨大なユーザーを抱えることになる。現状を放置していると、いつか大きな問題が起きないとも限らない。

日本未配信は「サーバー負荷」の問題か

  気になることもある。20日現在で30か国以上で配信されているポケモンGOが、ポケモンの“お膝元”の日本ではまだ配信されていないことだ。

  日本で未配信なのは、人口の少ない国から出してユーザーからのフィードバックを受け、重要な市場でリリースする前に問題を解決してしまう「ソフトローンチ」という手法がとられているからだ。

  事実、ポケモンGOはアメリカより1日早くニュージーランド(人口約450万人)、オーストラリア(同約2,400万人)でリリースされており、両国でソフトローンチが行われたと推察できる。問題は、3番目にアメリカで公開した際に、あまりの人気からサーバーへの負荷が大きく、トラブルに見舞われたことだろう。その結果、ヨーロッパなどでのリリースが一時見合わせられる事態にもなった。

  17日に配信されたカナダでも過重な負荷によってサーバーがダウンしており、日本での配信がなかなか開始されないのは、サーバー負荷の検証が行われているのが理由だと思われる。

  ユーザーからすれば「ポケモンは日本のゲーム」という気持ちが強いだけに残念だが、それだけ日本が重要視されているということでもある。

ポケモンGOはゲーム業界を変えるか?

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スマホゲーム業界は、“巨大モンスター”ポケモンGOとどう戦うのか?

 ポケモンGOの登場により、スマホゲーム業界は大きな変化を求められるだろう。と言うのも、ポケモンGOの登場で、現在は1、2位の人気を争っている「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」や「モンスターストライク(モンスト)」だけが目標とすべきライバルではなくなってしまうからだ。

  既存のゲームも新規のゲームも全て、ポケモンGOという巨大なモンスターと戦わなければいけなくなり、さらにこれまであまり想定していなかったであろうプレー時間でも勝負しなければならなくなる。ユーザーがプレーに費やす時間が長くなれば、その分だけ課金の機会も増えるからだ。ポケモンGOのユーザーは、他のゲームをプレーしている暇が今までよりもグンと減るだろう。なにせ、ポケモンGOの1日当たりの滞在時間は、FacebookやInstagramのそれを上回るほどなのだ。

  これまで、ゲーム専用機とソフトの一体販売を軸にしたビジネスを展開してきた任天堂ポケモンGOの成功をもとに今後、次々とスマホゲームを出してくることも予想される。実際、携帯型ゲーム機ニンテンドー3DS」向けの人気ゲーム「どうぶつの森」と「ファイアーエムブレム」のスマホ版が今秋までにリリースされることは既に決定している(開発はDeNAが担当)。

  任天堂にとって心配されるのは、現在の主力であるニンテンドー3DSの売り上げだ。2016年3月期決算によると、3DS本体の販売台数は前期比77%と失速している。今年は新ゲームソフト「ポケットモンスター サン・ムーン」が発売される予定だが、勢いを復活できるかは難しい。

  しかし、3DSの販売に注力するよりも、今や1兆円規模に迫るスマホゲーム市場で、新たなユーザーを開拓する方が任天堂にとっては大きいと思われる。瞬間風速ではあるものの、アメリカではすでにポケモンGOの課金がモバイルゲーム市場の課金のほぼ半分を占めているとされる。新たな大海に乗り出した任天堂の未来は、現時点では視界良好といったところだ。

プロフィル
篠原 修司(しのはら・しゅうじ)
 1983年生まれ。福岡県在住。スマホメディア『AppBank』元編集長。現在はフリーライターとしてYahoo!ニュース個人やASCII.jpなどの各メディアで記事執筆に取り組んでいる。
2016年07月20日 18時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun