井の頭池で約60年ぶりに確認された「イノカシラフラスコモ」(5月23日撮影、都西部公園緑地事務所提供)
東京都は23日、かつて井の頭恩賜公園(三鷹市、武蔵野市)の井の頭池で確認されたものの、水質悪化などで絶滅したと考えられていた水草「イノカシラフラスコモ」が約60年ぶりに確認されたと発表した。
昨年度、井の頭池の一部である「弁天池」の水が28年ぶりに抜かれ、池底の土がかき混ぜられたことなどにより、下層部に眠っていた水草の胞子から芽が出たとみられている。
発表によると、イノカシラフラスコモは藻類の一種。1957年に井の頭池などで初めて発見されたことにちなみ命名された。だが、その後は確認されてこなかったことから井の頭池周辺では絶滅したとみられていた。現在、国内で生育が確認されているのは千葉県市川市内のみという。
都などは昨年度、井の頭池で水質改善や生態系の回復を目指し、池の水を抜いて底を天日干しする「かいぼり」を実施した。同時に行われた魚の捕獲や池底の土に含まれる種子や胞子の調査の過程で、池底の土がかき混ぜられたことに加え、天日干しにより水質改善が進んだことで、イノカシラフラスコモが「復活」したとみられている。都によると、現在、弁天池で1500株以上が確認されているという。
2016年06月24日 11時34分 Copyright © The Yomiuri Shimbun