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演出家の蜷川幸雄さん死去 80歳「世界のニナガワ」

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蜷川幸雄さん=2013年9月15日撮影

 日本人の感性で読み解いたダイナミックなシェークスピア劇などで知られ、国際的な活躍で「世界のニナガワ」と呼ばれた演出家、蜷川幸雄(になが わ・ゆきお)さんが東京都内の病院で死去した。80歳だった。妻宏子(ひろこ)さんは1970年代まで俳優、真山知子(まやま・ともこ)として活躍し、現 在はパッチワーク・キルト作家。写真家の蜷川実花さんは長女。

 埼玉県川口市生まれ。55年に劇団青俳の研究生となり俳優としてスタート。68年に蟹江敬三石橋蓮司らと「現代人劇場」を結成し、翌年、清水邦夫作「真情あふるる軽薄さ」で演出家デビュー。若者の体制への怒りを鋭く表し、アングラ演劇の旗手となった。

 74年、日生劇場(東京)で「ロミオとジュリエット」を演出。初めて挑む大劇場で、疾走感あふれる鮮烈な表現を見せ、観客から大きな支持を得た。

 続く、「王女メディア」「NINAGAWAマクベス」「近松心中物語」などで、戯曲の本質に 大胆に切り込み、美しく視覚化する演出を確立。若い頃は、やる気が感じられない俳優に灰皿を投げる激しい稽古でも知られた。代表作は他に「テンペンスト」 「唐版 滝の白糸」「タンゴ・冬の終わりに」「身毒丸」「オイディプス王」「ムサシ」「海辺のカフカ」など。

 83年にアテネなどでギリシャ悲劇「王女メディア」を成功させて以降、ほぼ毎年、海外公演を重ね、高い評価が定着。英国ロイヤル・シェークスピア劇団との「リア王」など国際共同制作も度々手掛けた。

 99年に東京・渋谷のシアターコクーンの芸術監督に就任。06年には彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督にも就き、高齢者劇団「さいたまゴールド・シアター」を設立し、大きな話題に。09年には無名の若手俳優を集め「さいたまネクスト・シアター」も作った。

 99年度朝日賞。02年英国名誉大英勲章第3位、04年文化功労者、10年文化勲章。03~10年、桐朋学園芸術短大学長を務めた。

 心臓や肺などに病気を抱え、90年代後半から入院や手術を繰り返したが、創作意欲は衰えず、14年11月に公演先の香港で倒れた後も車椅子で稽古に復帰。15年は4本を新たに演出した。

 特に、「さいたまゴールド」と「ネクスト」による新作「リチャード二世」では、30台以上の車椅子を登場させるなど、自らの不自由さを表現に反映し、鮮やかな舞台を作った。

 15年12月、「元禄港歌」(16年1月開幕)の稽古中に体調を崩し、入院。16年2月に上演予定だった、半生をモチーフにした新作「蜷の綿」は延期となった。5月25日開幕の「尺には尺を」は病床で演出プランを練ったが、稽古には参加できなかった。

 
 

演出家の蜷川幸雄さん死去、80歳…文化勲章受章者

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文化勲章に決まり笑顔を見せる蜷川幸雄さん=東京都渋谷区で2010年10月22日、梅村直承撮影

 “世界のニナガワ”として国際的にも高く評価された舞台演出家で、文化勲章受章者の蜷川幸雄(にながわ・ゆきお)さんが12日、死去した。80歳。

 埼玉県川口市生まれ。開成学園(現開成高)を卒業。画家を志したが、安部公房の「制服」を見たのがきっかけで1955年、劇団青俳に俳優として入団。アングラ全盛期の68年、青俳仲間の蟹江敬三さん、後に夫人となる真山知子さんらと劇団現代人劇場を創立。69年、清水邦夫さん作の「真情あふるる軽薄さ」で演出家デビューした。

 74年、日生劇場の「ロミオとジュリエット」演出で初の大劇場進出。以降、活躍の場を商業演劇に移し、「近松心中物語」など日本の戯曲からギリシャ悲劇、シェークスピアなど古今東西にわたる延べ約300作品を手がけた。

 劇場空間を埋め尽くす大胆で豊かな詩的イメージに満ちた視覚的な世界は、国境を超えて多くの観客を魅了。稽古(けいこ)場では怒声とともに灰皿が飛ぶという、妥協を許さない厳しい姿勢で知られた。

 79年の菊田一夫演劇賞をはじめ97、2001年の読売演劇大賞最優秀演出家賞、00年毎日芸術賞など受賞多数。04年文化功労者、10年文化勲章彩の国さいたま芸術劇場芸術監督。映画「蛇にピアス」やテレビドラマの監督もつとめた。

 著書に「反逆とクリエイション」「千の目千のナイフ」など。長女は写真家の蜷川実花さん。

 心臓のバイパス手術や肺炎による入院など、体調を崩しながらも、年間約10本もの作品を手がけるという多忙さは最後まで変わらなかった。16年2月からは蜷川さん自身の半生をモチーフにした新作舞台「蜷の綿」を演出予定だったが、病気療養のため延期されていた。5月25日にはシェークスピア作品「尺には尺を」の初日を控えていた。

毎日新聞2016年5月12日 17時29分(最終更新 5月12日 18時08分)