踊りの名手として知られ、端正な芸で幅広い役を演じた歌舞伎俳優の十代目坂東三津五郎(ばんどう・みつごろう、本名・守田寿〈もりた・ひさし〉)さんが21日、膵臓(すいぞう)がんのため都内の病院で死去した。59歳だった。遺族による密葬の後、本葬は25日午後3時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で。喪主は長男の二代目坂東巳之助みのすけ、本名・光寿〈みつひさ〉)さん。

 2013年7月に膵臓の異常がみつかり、8月末から入院。9月に膵臓悪性腫瘍(しゅよう)と脾臓(ひぞう)を切除する手術を受けた。療養後、14年4月に「寿靱猿(ことぶきうつぼざる)」で東京・歌舞伎座の舞台に復帰し、同年8月にも「たぬき」「勢獅子(きおいじし)」に出演した。9月には東京・国立劇場での舞踊会でも踊った。

 9月の定期検査で肺の異常が発覚し、12月に出演を予定していたこまつ座の舞台「芭蕉通夜舟」の降板を発表。10月の小唄演奏会での舞踊が最後の舞台となった。

 東京都出身。先代三津五郎の長男に生まれ、1962年、五代目八十助(やそすけ)を襲名し初舞台を踏んだ。八十助として長らく活躍。2001年に 三津五郎を襲名した。「喜撰(きせん)」などで、折り目正しさの中に妙味のある芸を見せた。「魚屋宗五郎」の宗五郎といった世話物の役をはじめ、「勧進帳」の弁慶などの荒事や時代物の役もよくこなし、新作歌舞伎、現代劇まで幅広く演じた。NHK大河ドラマ功名が辻」やTBS系「ルーズヴェルト・ゲーム」などテレビ、映画「武士の一分」にも出演。日本舞踊坂東流家元としても知られた。

 06年日本芸術院賞。09年紫綬褒章など。著書に「あばれ熨斗(のし)」などがある。

2015年2月22日20時15分 朝日新聞