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一石三鳥のヒツジ…ブドウ畑耕し雑草食べ肥料も

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ブドウ畑に放し飼いにされているヒツジに餌を与える槙本さん(甲州市で)

 山梨県甲州市勝沼町下岩崎のワイナリー「まるき葡萄(ぶどう)酒」で、羊が活躍している。

 同社では2013年から飼育を始め、冬場に畑に生えた雑草を食べたり、歩き回って畑を耕してくれたりと有機栽培に役立つ一方、工場見学に訪れる親子連れらに愛嬌(あいきょう)をふりまき、人気となっている。

 今春には畑に羊を放して初めて採れたブドウで作ったワインも完成する。同社では「羊を取り入れ、一石二鳥、三鳥の効果がある。ワインの出来も楽しみだ」と話している。

 同社では2008年から、畑に雑草を生やしたままにする「不耕起草生栽培」を導入。これは、雑草が土壌の栄養分を適度に吸収することにより、ブドウの木に栄養が行き過ぎるのを防ぐため。さらに、総務企画部の槙本任善(ひでよし)部長(46)は、「土壌の栄養分が雑草に取られてしまうため、ブドウの木の根がミネラルを求め、地中深くまで根を張ろすことで、より強い木が育つというのも狙いの一つ」と説明する。

 ただ、雑草が増えすぎると人が畑に入れなくなるなど問題も多い。そこで白羽の矢が立ったのが羊だった。雑草をはむ動物には牛やヤギもいるが、牛は低いブドウ棚の下で活動するのは難しく、ヤギはブドウの実の日よけ用にかける紙を食べてしまう恐れがあり、羊が選ばれた。初めは羊4匹を放し、その後、3匹が誕生。新たに2匹を加えたため、現在は計9匹が“スタッフ”として約60アールの畑に放し飼いにされており、落としたフンが肥料になるという効果もあるという。

 同様の方法は、山形県南陽市赤湯の「酒井ワイナリー」でも、2007年から取り入れている。主な目的は有機農業を進めることだが、畑が急勾配にあり、機械や人の手での除草が難しい場所のため、羊の活躍で助かっているという。

 まるき葡萄酒では、羊が畑にいるのは、ブドウの剪定(せんてい)期の冬場のみ。春になるとブドウの新芽を食べてしまうため、近くの空き地に移されるが、工場見学に来た親子連れに人気で、ワインが飲めない子供には羊を見て楽しんでもらっている。ワインのラベルやコルクに使った羊のイラストも来場者に好評で、同社では、夏にかけての毛刈りの時期には毛刈り体験ができないかと、現在イベントも検討中だ。

 槙本部長は、「最初は不安もあったが、今ではPRやワイン作りで大活躍してくれ、かわいくて仕方ない。不耕起草生栽培と羊耕作の相乗効果がワインの味にどう出るか。完成が待ち遠しい」と話している。
2015年02月07日 10時25分 Copyright © The Yomiuri Shimbun