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「イスラム国」拘束:IS、強硬路線から転換か

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トルコ南部アクチャカレ国境検問所から見える、シリア側の「イスラム国」(IS)支配下の村の一つ。写真右奥の高い塔は村の給水施設で、この一角の建物屋上にISの兵士とみられる一団が現れた=トルコ南部で2015年1月29日正午、大治朋子撮影

 【カイロ秋山信一】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)にフリージャーナリストの後藤健二さん(47)が拘束された事件で、IS側は自ら設 けた要求や期限を変更するなど、従来の強硬一辺倒とは異なる面を見せている。イスラム過激派の動向に詳しい専門家の間では「(IS前身組織メンバーの)サ ジダ・リシャウィ死刑囚の釈放にこだわっている」「世論の動向も見極めながら次の手を考えている」などの見方があるが、内部で意見対立がある可能性も指摘 されている。

 ISは今回の事件で「期限」を3度設けた。今月20日の最初の声明では、後藤さんと軍事関連会社経営の湯川遥菜(はるな)さん(42)を拘束している映像を公開。2人の殺害を予告し、「72時間以内」に2億ドル(約235億円)の身代金を日本政府に要求した。

 「湯川さん殺害」を主張した24日の声明では一転して身代金の要求を撤回し、「リシャウィ死刑囚と後藤さんの身柄交換」を求めた。この時は期限を 設けなかったが、27日には「あと24時間しかない」と主張。応じなければ、後藤さんとヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ中尉を殺害すると脅した。

 さらに29日には「(イラク時間の)29日の日没」をリシャウィ死刑囚の引き渡し準備の期限としたが、期限経過後もISから公式の反応はない。

 こうした「期限」の引き延ばしは、脅迫通りに英米人の人質を殺害することで恐怖を与えてきた従来の手法とは明らかに異なる。声明も2度目以降は動 画がなく、静止画にもIS広報部門のロゴマークが入っていなかった。英米人の人質殺害を公表した映像が高画質だったのとは対照的で、即席で作ったような印 象を与えた。

 イスラム過激派の動向に詳しいエジプトの評論家、サラハ・エルディン氏はISの沈黙について「交渉が決裂してもISに失うものはない。情報を意図的に隠し、ヨルダンや日本の世論が動揺するのを狙っている」と分析する。

 一方、IS内部に知人がいるヨルダンのイスラム厳格派指導者アブ・サヤフ氏は「カサスベ中尉を巡って、脅迫通りに殺害するか、生かしておくのか意 見が対立している可能性もある」と指摘する。またエジプトの元過激派メンバー、マヘル・ファルガリ氏は「沈黙はISが迷っている証拠だ。リシャウィ死刑囚 の釈放を何としても実現するため、期限を延ばしてでも交渉の決裂を避けようとしている」との見方を示している。

毎日新聞 2015年01月31日 11時49分(最終更新 01月31日 12時27分)

 

 

外務副大臣「人質事件は膠着状態」 政府、週末も警戒

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報道陣に囲まれる中山泰秀外務副大臣(29日、アンマン)=共同

 【アンマン=佐野彰洋】中東の過激派「イスラム国」を名乗る組織による日本人人質事件で、現地対策本部で指揮を執る中山泰秀外務副大臣は30日夜、記者 団に対し「事態は膠着状態になっている」と述べた。ヨルダン政府は「24時間体制で情報収集にあたっている」(軍報道官発言)が、犯行組織からの新たな メッセージを待たざるを得ない状況となっている。

 イスラム国側は人質の後藤健二さん(47)の解放と引き換えにヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚を引き渡すよう求めている。これに対し、ヨルダン政府はイスラム国が拘束しているヨルダン軍パイロットの生存確認が先だとして応じていない。

  日本政府は週末も警戒を続ける。連日、首相官邸で泊まり込みで対応にあたっている杉田和博官房副長官は31日午前も情報収集に努めた。世耕弘成官房副長官 は同日、「いつも通り、情報収集する」と述べた。菅義偉官房長官岸田文雄外相らは午後にそれぞれ官邸と外務省に入る予定だ。

 安倍晋三首相は日本人の殺害予告があって以来、私邸には戻らず官邸に隣接する公邸に待機しており、随時報告を受ける。政府高官は「日本としては待つしかない。できることはヨルダン政府などへの協力要請、情報収集、分析の3つしかない」と指摘した。

2015/1/31 11:15 (2015/1/31 12:00更新) 日経新聞