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携帯と光回線のセット割、3月から開始 NTTドコモ

 NTTドコモは29日、携帯電話と光回線をセットで契約すると料金を割り引く「ドコモ光パック」を、3月1日から始めると発表した。予約は2月16日から受け付ける。顧客が選ぶ携帯電話の料金プランに応じ、光回線を含む料金(通話料は別)から月1割前後を割り引くしくみ。例えば、光回線を戸建て住宅に引き、携帯のデータ通信量が5ギガバイトのプランを選んだら税抜き月1万200円から800円(8%)を、家族で30ギガバイトを分け合うプランなら月2万7700円から3200円(12%)を値引く。NTT東西の光回線フレッツ光」の契約者は原則、事務手数料3千円を払えばドコモ光パックに移れる。

2015年1月29日22時56分  朝日新聞

鳴り物入り「光セット割」 利幅薄くドコモも苦悩

 NTT東西による光回線の卸売りが2月1日にいよいよ始まる。これを受けてNTTドコモは、長年悲願としてきた携帯回線と光回線のセット割サービスに乗り出す。プロバイダー(接続業者)各社も好機到来ととらえ、卸売り回線を使った新しい光回線サービスを提供する。

  ただ価格破壊が起こると考えるのは早計だ。各社の料金プランを点検すると、条件付きで値引きするものの、大半の利用者の基本料金は月5000円(税抜き、 以下同じ)前後でほぼ横並び。従来と大きな差はない。背景にあるのが、当初から採算ぎりぎりの基本料金を設定せざるを得ず値下げの余地が少ないという事情 だ。いかに割安感があるように見せかけるかで、各社は苦慮している。

 

■うたい文句の割引も、実は対象者は限定的

 

新サービスを説明するNTTドコモの加藤社長(29日午後、東京・大手町)
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新サービスを説明するNTTドコモの加藤社長(29日午後、東京・大手町)

 「ドコモ光とLTEで、家の中でも外でもさまざまなコンテンツを 見られるシームレスな環境を当社が提供できる」。ドコモの加藤薫社長は29日、光回線サービス「ドコモ光」の発表会でこう語り、KDDI(au)やソフト バンクモバイルとの「総力戦」に臨む覚悟を見せた。「iPhoneや新料金に続きドコモ光と、そろえるものはそろえた。総合力でお客様にたくさん使ってい ただきたい」

 加藤社長が繰り返し強調したのは、割引やキャンペーンなどの料金施策だ。具体的には、(1)光回線と携帯回線をセットで利用する「ドコモ光パック」(2)ドコモ携帯回線の利用期間に応じた「ずっとドコモ割」(3)ドコモ光の利用者がスマートフォンスマホ)を新規契約する際にスマホ基本使用料を割り引く「光スマホ割」――などだ。それぞれ最大で月額3200円、2000円、1350円と割引くもので、顧客獲得にかける並々ならぬ熱意がうかがえる。

  一方、基本料金に目を向けると料金設定に苦しんだ跡が見て取れる。光回線の使用料とプロバイダーに支払う月額サービス料金を合わせた基本料金は、戸建て向 けで月5200~5400円。競合するKDDIの「auひかり」は同5200円であり、横並びだ。ドコモ自身が提供する接続サービス「ドコモnet」の代 わりに他社プロバイダーも選択した場合も大差ない。プロバイダーとして「So-net」「@nifty」「OCN」などと契約した場合は5400円とな る。

 ドコモは最初から横並びにしたかったわけではない。そうせざるを得なかったのだ。サービス開始に先立ちプロバイダー各社と協議した 際、「月500円で接続サービスを提供してほしい」と呼びかけた。ただ一部が反発したとされ、各社へ配慮した様子が基本料金から浮かび上がってくる。

  割引などの料金施策についても、苦心の跡がうかがえる。上述した3つの割引は一見大幅に安くしたように見え魅力的だが、いずれも対象者には条件があり必ず 安くなるわけではない。恩恵に最大限あずかるには、まずドコモとの契約でスマホのパケット料金プランを最も高い月30ギガバイト(GB)のメニューにして おく必要がある。加えてドコモの携帯回線を15年超継続して利用しているなども条件。ハードルが高いのだ。

 一般的なライトユーザーの場合、割引幅はガクンと下がる。例えばスマホのパケット料金プランが月5GBなら、セット割の割引額は月800円止ま り。携帯回線の利用期間が10年以下なら「ずっとドコモ割」は適用外だ。ドコモは「利用の多い人、契約期間の長い人を優遇する」という方針を2014年に 打ち出した新料金プランで示しており、ドコモ光でも徹底した格好だ。

 

ビッグローブやU-NEXTも基本料設定に悩む

  事情は、同じく光回線の卸売りを受けるプロバイダー各社も同じ。NTT東西からの卸値が共通である以上、極端な値下げは難しい。各社は基本料金に含める サービスメニューを調整するか組み合わせるオプションサービスで工夫するのが精いっぱい。値下げできても少額にとどまり、優位性を消費者に伝えづらいこと に悩んでいる。

 例えばビッグローブ光回線サービス「ビッグローブ光」。戸建て向けの基本料金は月5180円で、開通翌月から起算して3カ月利用すれば1万円分のキャッシュバックが得られる。ただカラクリがあり、通信に必要なルーターは通常無料で借りられるが、速度が1ギガビットで NTT東日本を使うプランのみ月額500円が別途かかる。これを勘案すると、ドコモ光やauひかりより劇的に安いとは言い切れない。「現時点で設定できる ぎりぎりの範囲で基本料金を設定した」(ビッグローブ広報)。高速なルーターはコストがかかるため受益者負担とし、少しでも基本料金を安く設定したかった ようだ。

 ドコモに先立ち、28日に光回線サービス「U-NEXT光」を発表したU-NEXT。会見では、戸建て向けの基本料金については 月4980円で料金が安いと胸を張った。しかしながら基本料に値下げ余地がほとんどないとも明かす。「(他社がより安い価格を打ち出しても)当面はこの価 格で勝負したい。これ以上は、NTT東西に卸値を下げてもらわないと難しい」(宇野康秀社長)

 U-NEXTは、格安スマホや動画配信サー ビスを活用して割安感を演出したい考え。光回線と同社の格安スマホを組み合わせれば、マンション向けなら携帯2回線で合計月8000円、3回線なら月1万 円で済む。「料金に敏感で大幅な節約をしたい消費者に、光回線とともにスマホの契約も見直してもらえれば」(宇野社長)と期待を寄せる。格安スマホが2回 線以上になれば、動画配信サービスで使える無料チケットも月1000円分付ける。

 これまでNTTを縛る独占規制で提供できず、解禁を巡っ て公平な競争が難しくなるとKDDIソフトバンクから物言いが付いた光回線の卸売り。難産の末に生まれたものの、安さだけで劇的に日本の通信環境を改善 するほどのインパクトはなさそうである。動画配信や生活サポート、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)や防犯など新たな付加価値の提案が不可欠であ る。

 

各社の光回線、基本料はほぼ横並び
サービス名
(提供会社)
月額料金(注2)主な割引・キャンペーン
戸建て マンション
ドコモ光
(NTTドコモ)
5200~5400 4000~4200 ▼携帯回線の利用年数に応じ最大2000円引き
▼光+携帯のセット契約で1世帯あたり月800~3200円引き
▼携帯回線の新規申込で基本料を月1350円×12カ月割引
ビッグローブ
ビッグローブ
5180 4080 ▼開通翌月から3カ月利用すれば1万円現金還元
▼光+携帯のセット契約で携帯1回線あたり月200円引き
U-NEXT光
(U-NEXT)
4980 3910 ▼光+携帯のセット契約で携帯1回線あたり月50~500円引き
▼光+携帯2回線以上の新規申し込みで工事費無料
auひかり
KDDI
5200 3800 ▼開通翌月末まで利用すれば5000円現金還元
▼光+携帯のセット契約で携帯1回線あたり月934~1410円引き

(注1)価格は税抜き (注2)月額料金は2年契約でISP料金を含む

(電子報道部 金子寛人)

2015/1/29 19:55 日経新聞